巷では「慰謝料200万円を支払えば離婚できるから、浮気するなら200万円を用意しておけばよい」と言う噂が広がっています。本当にそうでしょうか?ここでは不倫した末に離婚。と言う選択を選んだ方が、相手に支払う慰謝料や相手方の生活費をどのくらい負担するのかなどを詳しく説明していきます。
結婚している男性が妻以外の女性と浮気をし(法律上の用語では、「不貞行為」といいます。)、それが原因で離婚する場合、その男性は、妻に対し、慰謝料を払わないといけない。
このように認識されている方は多いかと思います。
またその慰謝料は、おおよそ200万円前後であると認識されている方も多いかと思います。
しかし、さらに進んで、慰謝料200万円を支払えば離婚できるから、浮気するなら200万円を用意しておけばよいと思っている方がいるようです。
これは大きな間違いです。
以下夫が浮気して、それが原因で離婚するケースについて詳しく解説していきます。
夫婦には、結婚により発生する義務として、互いに浮気をしてはならないという貞操義務(民法770条1項1号等参照。)があります。結婚している男性が浮気した場合には、貞操義務違反として、その妻に対し、慰謝料の支払いをしなければならないということになります。
他方で、浮気(不貞行為)は離婚事由とされており(民法770条1項1号)、妻は、夫に対し、浮気を理由として、離婚を求めることができます。
実際に多いケースとして、子どもがいる、自身の収入に不安があるなどの理由で、夫が浮気し、夫婦関係が冷め切ったとしても、妻が夫に対し明確に離婚までは求めないということも多いです。
ではこのような場合に、浮気をした夫から妻に対し、離婚を求めることはできるのでしょうか。
浮気やDVといった離婚の原因をつくった配偶者からの離婚請求については、有責配偶者からの離婚請求として、一定の場合に例外的に離婚が認められている状況です。
以上があげられています(最判S62.9.2参照。)
裁判例上これらの要素を全て満たすことが必須とまではなっていないですが、いずれにせよ、浮気をした夫から妻に対する離婚の請求は容易に認められないという点をおさえていただければと思います。
自身が浮気をしたことが原因とはいえ、冷め切った家庭が嫌で早期に妻と別居する方も多いかと思います。前述の①に記載の通り、別居期間は、有責配偶者からの離婚請求が認められるか否かに影響を与えるもので、一般的には別居期間が長くなればなるほど離婚は認められやすくなると考えていただいて差し支えありません。
しかし、有責配偶者からの離婚請求の場合、2〜3年別居が続いたとしても、それによって容易に離婚が認められるものではありません。事案によりけりなので、一概に何年というのは難しいところがありますが、5年別居が続くことが離婚請求認容の1つの目安といわれています。
さらに、夫が妻より収入が多い場合、たとえ冷め切った夫婦関係になっていたとしても、別居期間中、相手方に対し生活費(「婚姻費用」といいます。)の支払をする必要があります。
これは収入差があればあるほど、夫が妻に支払う金額は大きくなり、離婚が成立するまで、生活費を毎月支払い続ける必要があります。
例として夫の年収が500万円、妻の年収が100万円で子がいない場合、6~8万円の生活費を毎月支払う必要があります。
そして、前述の通り、5年の別居が離婚請求認容の目安なので、5年間この生活費の支払いを強いられ、夫は総額にするとかなりの経済的負担を負うことになります。
さらに、夫側に婚姻後別居前までに築いた財産があれば、離婚にあわせて、それを妻に分けること(いわゆる財産分与)が求められてしまいます。
以上のように、夫が浮気して、妻と離婚したいと思ったとしても、慰謝料200万円を支払えば離婚できるものではありません。
裁判上離婚を認めてもらうためには、1つの目安として5年間の別居を要し、さらにその期間妻に対し、毎月数万円の生活費の支払いを強いられることも多いです。
ただこれはあくまでこちらが一方的に離婚を求める場合です。上記のような見通しを踏まえた上で妻側とうまく交渉し、離婚の合意を取り付けることができれば、早期かつ金銭的負担も低く離婚することも可能です。
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