スターリングハウストラストの被害に遭われた方へ
🚨 重要なお知らせ
令和6年6月25日、証券取引等監視委員会はGlobal Investment Lab株式会社(GIL社)及びその代表取締役・主要メンバーに対し、金融商品取引法違反行為(無登録金商業)の禁止及び停止を命ずるよう東京地方裁判所へ申し立てを行いました。
さらに、令和8年5月13日、金融商品取引法違反の疑いでGIL社の実質的経営者ら6名が逮捕されています。
📋 この記事でわかること
- スターリングハウストラストの実体がないと考えられる根拠(4つ)
- 出資された方が自ら調査できる具体的な方法(6つ)
- 今後取りうる3つの選択肢とその概要
- 信頼できる情報源の見極め方
これら情報を受けて、スターリングハウストラストに出資された方は、今後どうすればよいのか強い不安を抱えている方も多いかと思います。実際私も相談や対応を受けています。
今回、本記事では、スターリングハウストラストについて被害に遭われた方向けに、現状私が調べた限りの情報(ただし、受任中の事件との関係で、守秘義務を負うと判断されるものを除く。)をまとめましたので、今後の方針決定についてご参考にしていただければと思います。
まずはじめに、私としては、出資されたお金がスターリングハウストラスト又はその運営者から戻ってくる可能性は極めて低いと考えています。
📌 現在、みなさんが取りうる選択肢
紹介者等に紹介の責任追及(損害賠償)を行う
紹介者等の刑事責任を問う
あきらめる、または戻ってくる低い可能性にかけてひたすら待つ
※①と②をどちらも行うという選択肢もありえます。各選択肢のメリット・デメリット等の詳細は後編で解説します。
以下では、そもそもなぜ出資されたお金が戻ってくる可能性が極めて低いのか、みなさんで調べて取得できる情報、その上で上記3択のメリット・デメリット等(この部分は後編で解説します)について説明させていただきます。
1 スターリングハウストラストの実体がないと考えられること
(1)会社の登記が確認できないこと
スターリングハウストラストに出資した方は、その販売代理店であるDistribution Partner(「DP」といいます。)と、DPに紐づけられた勧誘員であるSales Partner(以下「SP」といいます。)により紹介・勧誘を受けて、指定口座に金銭を送金したうえで、スターリングハウストラストのホームページ(https://sterlinghousetrust.com/)で入金確認や運用状況の確認、出金手続等をしていたかと思います。
このホームページには、ニュージーランドとイギリスの住所が記載されており、Terms & Conditions(利用規約)においても以下の記載があります。
The Terms are issued by Sterling House Trust (New Zealand) and having its registered office at 202 Parnell Road, Parnell, Auckland 1151, New Zealand
(訳)本規約は、ニュージーランド、オークランド1151、パーネル、パーネルロード202番地に登記上の事務所を有するSterling House Trust (New Zealand)によって発行されます。
しかし、イギリスの「Companies House」(イギリスの会社登録制度)においても、「New Zealand Companies Office」(ニュージーランドの会社登録制度)においても、「Sterling House Trust」の登録は確認できません。
🚨 ホームページ上では「Sterling House Trust」という会社名のように記載されているのに、実際はイギリスにもニュージーランドにも「Sterling House Trust」という会社は存在しません。このことだけでも、単なる投資詐欺だったのではないかという強い推認が働きます。
なお、証券取引等監視委員会のホームページには、スターリングハウストラストの運営主体は「海外法人であるSTERLING HOUSE GROUP LTD」と記載されていますが(参照)、実際にそのような会社が存在するわけではありません(この点については、後述「2 みなさんで調査する方法」を参考に実際に情報を取得すれば確認できます)。
(2)既にGIL社やGlobal collect japan社が清算完了していること
証券取引等委員会のホームページの記載によれば、スターリングハウストラストの勧誘について中心的役割を果たしていたのはGlobal Investment Lab株式会社(GIL社)です。
6/25
証券取引等監視委員会が、GIL社等に対し金融商品取引法違反行為の禁止及び停止を命ずるよう東京地方裁判所へ申し立て
7/12
Global collect japan株式会社が解散(みなさんの多くが送金した三井住友銀行口座の名義会社)
8/13
GIL社が解散(申し立てから約2か月後)
12/9
Global collect japan株式会社が清算完了
1/29
GIL社が清算完了
5/13
GIL社の実質的経営者ら6名が逮捕(金融商品取引法違反の疑い)
⚠️ 会社が清算されてしまうと、仮にスターリングハウストラストが存在していたとしてもアクセスが困難になるだけでなく、このタイミングでの清算には責任逃れの意図(会社自体がなくなれば、その財産を差し押さえることはできません)を感じるところです。
(3)他の投資詐欺に経過が似ていること
元本を引き出すことができなくなったのは、令和6年6月25日に証券取引等委員会による申し立てが行われて以降です。このような流れは、スカイプレミアム(ライオンプレミアム)と同じ流れです(参照)。
この申し立てが行われた後、スカイプレミアムについては一部元本の返還がされていたようですが、徐々に返金はなくなり、結局返金されていないということを多く聞いています。なおスカイプレミアムの際も、紹介者は「単に日本での募集行為ができなくなっただけで特段問題ない」といった説明をしていたようです。
📌 ポンジスキームについて
いわゆるポンジスキームの場合、他の人の配当や元本の返還に、新たな出資者からの出資金をあてる必要があります。新たな出資金が得られなくなれば破綻し、配当や元本の返還ができなくなります。このような経過も、スターリングハウストラストに実体がないことを基礎づけるものといえます。
(4)関係者からの主張について
スターリングハウストラストの情報を収集する中で、「現在マネーロンダリングの監査を受けていて、引き出せないだけだ」といった主張を聞くことがあるかと思います。しかし、この「監査」についてもどこの監査なのかはっきりしませんし、スターリングハウストラストのホームページにも何の記載もされていません。
(5)小括
以上の情報だけでも、私は、スターリングハウストラストの実体はないと考えています。加えて、こちらには記載できない調査結果(守秘義務等の問題があるためです。)によってもスターリングハウストラストに実体があるとは到底思えない状況です。
2 みなさんで調査する方法
(1)これまで出てきた情報について
これまで出てきた情報(登記情報やホームページの記載情報)は、みなさんでも調べることができる情報です。スターリングハウストラストについてはたくさんの情報が錯綜しているところです。そういった状況で重要なのは、自ら信頼できる情報源にアクセスし、確認するということです。
📌 このホームページの記載内容についても漫然と信じるのではなく、その情報源にあたり、反対仮説(スターリングハウストラストの実体がある可能性等)を考えて検討していただければと思います。
(2)証券取引等委員会による裁判所への申立記録の取得
証券取引等監視委員会は、東京地方裁判所に対して、GIL社等に金融商品取引法違反行為(無登録金商業)の禁止及び停止を命ずるよう申し立てを行いました。
🏛️ 申立記録の閲覧謄写について
これは裁判所に記録として残っているところですが、利害関係人であることを疎明できれば、裁判所でこの記録の一部を閲覧謄写可能です。
この記録には、証券取引等委員会が調査した結果やスターリングハウストラストについての情報をまとめた部分もあるので、何かアクションを取ることを考えられている方は取得されたほうがよいかと思います。
東京地方裁判所 民事訴訟記録の閲覧 →(3)バークレイズ銀行への問い合わせについて
現在、みなさんの出資したお金はバークレイズ銀行に保管されているという説明がされることがあるかと思います。バークレイズ銀行については、いうまでもなく世界的金融機関であり、同銀行名を使った詐欺も世界中で行われているためか、詐欺についての専用ページが用意されています。
https://www.barclays.co.uk/fraud-and-scams/reporting-scams-and-reporting-fraud/
⚠️ 問い合わせ時の重要なポイント
「自分はスターリングハウストラストに詐欺にあったのか」「自分のお金はバークレイズ銀行にあるのか」と確認しても、担当者も答えづらく、あしらわれる可能性があります。
経緯や、どういった流れでバークレイズ銀行に自身のお金があると認識しているのかを整理してメールを送る必要があります。また、個人情報の関係で回答されない場合もあります。どういった質問であれば回答されるのかを検討しながら進めざるを得ない部分です。
現在は電話相談が基本となっていますが、メールでの問い合わせ窓口も一応記載されています。各種生成AIを使えば比較的容易に問い合わせメールを作成することは可能かと思いますので、問い合わせをしてみるのも1つの手段かと思われます。
(4)GC PARTNERSに対する問い合わせ
スターリングハウストラストについては、GC PARTNERSも関与しています。こちらも問い合わせ窓口があります(https://www.gcpartners.co/contact/)。こちらに問い合わせをして、GC PARTNERSが関与している部分についてやり取りをしてみるというのはありうるところかと思います。
⚠️ GC PARTNERSについては慎重な検討が必要です
GC PARTNERSのアカウントログインページでは、スターリングハウストラストのログインページに入力する情報と全く同じ情報を入力することで自身の会員頁に入ることができます。このことから、GC PARTNERSとスターリングハウストラストが密接な関係にあることが疑われ、GC PARTNERSから得た情報を信じてよいのかは検討の余地があります。
裁判所(証券取引等委員会)やバークレイズ銀行から得た情報とGC PARTNERSから得た情報を同列で語ることができないというのはご理解いただけるところかと思います。
(5)三井住友銀行に対する問い合わせ
三井住友銀行に対して問い合わせをするということも考えられます。これは自身の振り込んだお金の流れ(Global collect japan株式会社名義の口座から、その後どこに送金されたのか)を確認する上では非常に重要な情報です。
ただし、既に清算された会社の口座とはいえ、第三者口座の履歴について一個人の問い合わせに対し三井住友銀行が回答してくれるかはなんともいえないところです。また、どこに問い合わせたら回答してくれるのかも、バークレイズ銀行よりもわかりづらいという状況です。弁護士に依頼して動かれることを検討されている方は、弁護士に依頼した後にしかるべき方法で問い合わせをしたほうがより確実かと思われます。
(6)DPやSPから情報提供を得ること
最後になりましたが、選択肢として、DPやSP等、スターリングハウストラストを自身に紹介した方に問い合わせすることが考えられます。
⚠️ DPやSPからの情報取得は優先順位が低い理由
現実的にお金を回収する方法は、DPやSPに損害賠償請求することです。その点はDPやSPも分かっているので、自分たちに損害賠償請求してくるのを防ぐため、みなさんに嘘の情報を伝える可能性も大いにあります。
DPやSPから情報を得る場合には、それがどこから得た情報なのか、真偽の検証可能性はあるか等を十分検討する必要があります。
📊 調査方法の信頼性・優先順位まとめ
裁判所記録の閲覧謄写(証券取引等委員会の申立記録)
登記情報の取得(法務局・イギリス・ニュージーランドの会社登記)
バークレイズ銀行への問い合わせ
三井住友銀行への問い合わせ(弁護士依頼後が望ましい)
GC PARTNERSへの問い合わせ(スターリングと密接な関係の可能性)
DPやSPからの情報取得(損害賠償を避けるための虚偽情報の可能性あり)
3 まとめ
以上のように、私としては、自身で調査する中で、複数の根拠をもって、スターリングハウストラストの実体がある可能性は極めて低いと考えています。
📌 被害に遭われた方へお伝えしたいこと
単に金融庁が動いたから、幹部が逮捕されたから、スターリングハウストラストは詐欺だったと考えるのではなく、信頼できる情報源から実際に情報を取得し、その上で今後どのように動くのがよいのかを検討することが重要です。
今回の記事の目的は、被害に遭われた方が情報を集める上で参考となる情報を記載させていただきました。
後編では、具体的に取りうる手段、その法的根拠等について解説させていただきます。
📖 後編(近日公開予定)の内容
- 紹介者等への損害賠償請求の法的根拠と手続き
- 刑事告訴の方法とその効果
- 各選択肢のメリット・デメリットの詳細
個別にご相談されたい方へ
尾畠・山室法律事務所
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