未成年の相続人がいる場合は弁護士に相談を!利益相反や特別代理人選任について解説

未成年の相続人がいる場合は弁護士に相談を!利益相反や特別代理人選任について解説

通常の手続においては、未成年者の代理人は親権者である両親がなる場合が多いですが、相続については親が代理人になれない状況が発生します。しかし未成年者本人の法律行為には制限があり、遺産相続協議のためには親の代わりに代理人となる人を選任しなければいけません。

今回の記事では、相続人に未成年者がいる場合のさまざまな対応について解説します。

この記事の下部にQ&Aをまとめましたので、そちらもご確認ください。

目次

未成年者の相続について

未成年者の相続について

令和4年4月の民法改正により、成人の年齢が20歳から18歳に引き下げられました。未成年者とは「18歳未満」の人を指すようになり、遺産分割協議に参加できる年齢も現在では18歳以上です。

(成年)

第四条 年齢十八歳をもって、成年とする。

引用元:e-GOV法令検索 / 民法第4条

法定相続人の年齢には制限がないため、被相続人の法定相続人が未成年者であっても、財産を継承できます。相続において未成年者が相続人になることは、珍しいケースではありません。親が亡くなった場合には、未成年の子も相続人になります。

法定相続人とは

民法では、配偶者のほかに、法定相続人になれる順位を次のように定めています。

  • 第1順位 死亡した人の子
  • 第2順位 死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
  • 第3順位 死亡した人の兄弟姉妹

たとえば未成年の子がいる親が亡くなれば、その配偶者とともに、第1順位である未成年の子が相続人になります。

(子及びその代襲者等の相続権)

第八百八十七条 被相続人の子は、相続人となる。

2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。

3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。

(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)

第八百八十九条 次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。

一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。

二 被相続人の兄弟姉妹

2 第八百八十七条第二項の規定は、前項第二号の場合について準用する。

(配偶者の相続権)

第八百九十条 被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。

引用元:e-GOV法令検索 / 民法第887条、第889条、第890条

(参照元:国税庁「相続人の範囲と法定相続分」

未成年者のみでは代理人の同意がなければ取り消され得る

遺産の分配内容を決める遺産分割協議は相続人全員で行わなければいけませんが、未成年者の法律行為は制限されているため、遺産分割協議に参加できません。まだ未熟な未成年者は適切な判断ができず、その利益を守るために設けられている措置です。

そのため、相続人の中に未成年者がいる場合には、代理人を立てることが必要です。

(未成年者の法律行為)

第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。

2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。

3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

引用元:e-GOV法令検索 / 民法第5条

未成年者が遺産分割協議に参加する方法

未成年者が遺産分割協議に参加する方法

未成年者が遺産分割協議に参加するためには、法律行為が制限されている未成年者に代わり、相続手続をするための代理人の選任が必要です。誰が未成年者の代理人になるかは、未成年者と代理人になる者の間で「利益が相反するか」が重要なポイントになります。

親と未成年の子の双方が相続人になり、親が子の代理として遺産分割協議を進めた場合、親が自分の利益を優先して相続財産を多めに獲得すると子の相続財産が減ることになり、親と子は利害が対立します。この状態が「利益相反」です。

利益相反にならなければ、親権者である親が未成年者の代理人として遺産分割協議に参加できますが、利益相反がある場合は「特別代理人」を選任する必要があります。

親権者が代理人になる

親権者の利益と未成年の子の利害が対立しない場合は、親権者が未成年者の代理人になって遺産分割協議をおこなえます。

親子に利益相反が起きないケースには、次のような例があります。

<親権者が相続人でないケース>

親権者である母親が離婚しており、元夫(子の父親)が死亡した場合には、子は相続人となりますが母親には相続権がなく、利益相反が起きないため母親が子の代理人になれます。

<親権者のみ相続放棄したケース>

親権者だけが相続放棄をした場合は、相続人である子との間の利益相反はなくなります。この場合も、親権者が子の代理人になることに問題はありません。

特別代理人を選任する

遺産分割協議において親権者の利益と未成年の子の利益が対立する場合には、特別代理人を選任する必要があります。未成年の子が複数いる場合は、子同士の利益も対立するため、子の人数分の特別代理人を選任しなければいけません。

特別代理人になれるのは、遺産分割によって利益を受ける者(相続人や受遺者など)以外の成人です。通常は未成年者の祖父母や、相続人でないおじ・おばなどの親族が特別代理人に選任されるケースが多いです。

また、知識のない親族が特別代理になると手続がうまく進まなかったり、親族間でトラブルが起きたりする可能性もあるため、特別代理人を弁護士に依頼する方法もあります。

選任された特別代理人は、任せられた行為についてのみ未成年者を代理することができ、手続が終われば特別代理人としての任務が終了します。

遺産分割協議における特別代理人の任務は、遺産分割協議書に署名押印をして、遺産分割協議書を完成させることです。他に、相続登記を行う際に金融機関で預金払い戻しの手続をおこなうなど、相続手続に関する行為においても未成年の子の代理人として行動します。

特別代理人の選任の申立ては、未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所に対して親権者や利害関係人が行い、主に下記のような書類を提出します。

  • 特別代理人の選任申立書
  • 未成年者の戸籍謄本
  • 親権者または未成年後見人の戸籍謄本
  • 特別代理人となる者の住民票
  • 遺産分割協議書案など(利益相反や未成年者の利益を証明する資料)

特別代理人の選任は、相続人同士の合意があればいいわけではなく、家庭裁判所の手続を経なければ法的な効力がない点に注意しましょう。

未成年者が成人になるのを待つ

未成年者が成人するまで、遺産分割協議をおこなわずに待つという方法も選択肢のひとつです。

成人になれば単独で法律行為をおこなえ、家庭裁判所へ特別代理人選任の申し立てをする必要もなくなります。遺産分割協議自体には期間の制限はないため、子があと1~2年で成人する場合で家族関係や経済的に支障がなければ、成人するのを待つ方がメリットがあるかもしれません。

しかし、子が成人するまで遺産分割をしない方法はおすすめできません。以下が主な理由です。

  • 遺産分割完了まで、遺産がすべての相続人の共有状態になる
  • 不動産などの売却が難しく、維持費がかかる
  • 相続資金がない段階で相続税の支払いをする必要がある
  • 遺産分割完了までに相続人の誰かが死亡した場合、その相続による遺産分割も重なり非常に複雑な状態になる

子の成人まで遺産分割を待つかどうかは、経済的事情や相続人の関係などを考慮し、弁護士に相談するなど慎重な検討が必要です。

特別代理人が必要なケース

特別代理人が必要なケース

未成年者が相続人になり、特別代理人の選任が必要になるのは以下のような場合です。

  • 親と子の両方が相続人の場合
  • 未成年の相続人が複数いる場合
  • 相続人が胎児の場合
  • 未成年者が相続放棄する場合

特別代理人選任の要不要は、未成年者と利益が相反するかどうかが判断ポイントになります。

親と子の両方が相続人の場合

携帯電話の契約など未成年の日常的な法律行為は、親権者が法定代理人になりおこないます。しかし相続において親と子の両方が相続人の場合、親権者は遺産分割協議の代理人にはなれず、特別代理人を選任しなければいけません。

例えば、父と母に未成年の子が2人おり、父が死亡したとします。

この場合、相続人は母と2人の子であり、母が親権者としてどちらかの子の代理人になって遺産分割協議をおこなうと、子の利益が侵害されるおそれがあります。母と子の利益が相反している状態です。また、未成年の子同士もお互いに利益が対立しているため、それぞれ別々の代理人が必要です。母は、2人の子それぞれの特別代理人の選任を、家庭裁判所に申し立てる必要があります。

遺産分割協議は、母と、未成年の子それぞれの特別代理人の3人でおこなうということです。

未成年の相続人が複数いる場合

先述のとおり、未成年の相続人が複数いる場合には、子の人数分の特別代理人を選任します。

しかし親権者である母がすでに離婚しており、その元夫が亡くなった場合には、法定相続人でない母に相続財産を受け取る権利はありません。

そのため、相続人となる未成年の子が2人いても、母と子は利益相反の関係にはならないため、母は子の法定代理人になれます。ただし未成年の子同士の利益の対立を避けるため、母が代理できるのはどちらか一方の子についてのみです。母が代理しないもう一方の子のために、特別代理人の選任を申し立てる必要があります。

結果的に遺産分割協議は、未成年の子の法定代理人である母と、もう一方の子の特別代理人との2人でおこないます。

相続人が胎児の場合

母のお腹に胎児がいる状況で胎児の父が亡くなった場合には、まだ生まれていない胎児も相続人となり、遺産を相続する権利を持ちます。

(相続に関する胎児の権利能力)

第八百八十六条 胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。

2 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。

引用元:e-Gov法令検索 / 民法第886条

遺産分割協議には相続人が全員参加する必要がありますが、母のお腹にいる胎児や生まれたばかりの子は、当然ですが自分の意思を示すことができないため、代理人が遺産分割協議に参加します。

胎児や生まれたばかりの子が相続人になるケースでは、ほとんどの場合、親権者も相続人であると考えられ、利害が相反する関係です。親権者は子の代理人になることができないため、相続人である子の特別代理人を選任する必要があります。

胎児の相続権は、生きて生まれてくることを前提に認められています。死産だった場合、相続権はありません(民法第886条第2項)。胎児が出生後に死亡した場合は、被相続人の子として相続権が認められます。

つまり、胎児は生まれてくるまで遺産を相続できるかどうか確定しない状態にあるということです。

そのため相続による権利の確定を急ぐ理由が特別ない場合には、遺産分割協議や相続放棄・相続登記といった相続の手続は、胎児が出生するまで待っておこなうのが一般的です。

未成年者が相続放棄する場合

未成年者が相続放棄をすると、法定代理人である親権者の遺産の取り分が増える可能性があるため、親権者は子の相続放棄の代理はできません。未成年者に不利益が生じないよう、相続放棄のための特別代理人が必要になります。

特別代理人が不要なケース

特別代理人が不要なケース

相続人が未成年でも、以下のような場合には特別代理人の選任は不要です。

  • 親権者が相続放棄した場合
  • 法定相続分どおりに相続する場合
  • 未成年者が代襲相続する場合

特別代理人が不要であるということは、親権者と子の間に利益の対立がないということです。それぞれのケースについて解説します。

親権者が相続放棄した場合

法定代理人である親権者が相続放棄をした場合、相続人である子との間に利益の相反がなくなるため、親権者自身が未成年の子の代理人になれます。

同様に、親と子が同時に相続を放棄する場合も、未成年者の相続放棄手続に特別代理人は必要ありません。親子ともに相続放棄するのであれば、両者の間に相続人としての権利の対立がなくなるからです。

法定相続分どおりに相続する場合

法定相続分に従って遺産を分割する場合は、相続人間での遺産分割協議をおこなわないため、特別代理人の選任は不要です。

法定相続分とは法定相続人それぞれの相続分の割合で、民法第900条で定められています。

(法定相続分)

第九百条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。

一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。

二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。

三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。

四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

引用元:e-Gov法令検索 / 民法第900条

民法の内容をわかりやすく表にまとめたものが以下になります。

相続人 相続分
配偶者

被相続人の子(第1順位)

それぞれ1/2ずつ
配偶者

被相続人の父母(第2順位)

配偶者:全体の2/3

被相続人の父母:全体の1/3

配偶者

被相続人の兄弟姉妹(第3順位)

配偶者:全体の3/4

被相続人の兄弟姉妹:全体の1/4

法定相続分どおりの相続で問題なく遺産分割が終了するのが、一番理想的な形といえるでしょう。

両親が死亡し未成年者のみが相続人の場合

未成年者の両親がともに亡くなっているなど、法定代理人である親権者がいない場合は、親権者の代わりの役割を果たすために「未成年後見人」の選任が必要です。

未成年後見人の選任は、未成年者本人や親族などが、家庭裁判所に選任の申し立てをおこないます。未成年後見人には未成年者の親族が選ばれるのが一般的ですが、状況によっては弁護士などの専門家が選ばれることもあります。

未成年後見人も未成年者の代理人として遺産分割協議に参加できますが、未成年後見人が親族であり、その未成年後見人も相続人の1人である場合は、未成年後見人と未成年者は利害相反の関係です。その場合は別途、未成年者に特別代理人を選任しなければなりません。

未成年後見人は基本的には未成年者が成人するまで後見人であり続け、未成年者の世話や財産の管理などをおこなう義務があります。反面、特別代理人は遺産分割協議など特定の手続をおこなうために選任され、職務を終えた時点で特別代理人ではなくなります。

未成年者が代襲相続する場合

被相続人の子(孫にとって片方の親)がすでに亡くなっている場合、被相続人の孫が、亡くなった片方の親の相続人の地位を引き継ぐことになり、これを「代襲相続」といいます。

このようなケースで孫が未成年者である場合、被相続人の子の配偶者、つまり未成年者からみて生存している方の親は被相続人の親族ではないため、法定相続人には該当しません。被相続人の孫である未成年の子と親権者とは利益相反に当たらず、未成年者の法定代理人として遺産分割協議への参加ができます。結果このケースでは、特別代理人を選任する必要はありません。

遺産分割協議が無効になってしまう注意点

遺産分割協議が無効になってしまう注意点

相続が発生した場合には、さまざまな法律行為をすべての相続人がおこなう必要があり、通常の場合でも問題が起きやすい案件です。

相続人の中に未成年者がいる場合には、通常の相続手続よりもさらに注意を払わないと、遺産分割協議が無効になってしまう可能性があります。

  • 未成年者を除外した
  • 特別代理人を選任せずに親権者が未成年者に代わって遺産分割協議を成立させた

未成年者が相続人になった場合に遺産分割協議が無効になってしまう例としては、これらが挙げられます。

未成年者を除外した

未成年者である相続人を除外しておこなった遺産分割協議は無効となります。遺産分割協議の時点で胎児の存在に気づかなかった場合も無効となるため、注意が必要です。

相続人に未成年者がいる場合には、特別代理人の選任を必ずおこない、代理人を通じて未成年者を遺産分割協議に参加させましょう。

特別代理人を選任せずに親権者が未成年者に代わって遺産分割協議を成立させた

特別代理人の選任の必要があるのにそれをせず、親権者が未成年者を代理して遺産分割協議をおこなった場合、遺産分割協議は「無権代理行為」として本人の追認等がない限り無効になります。無権代理行為とは、代理権がない人が勝手に本人を代理して行動することを指します。

遺産分割協議が無効になると、不動産の相続登記をおこなえず、金融機関で預貯金の払い戻しもできないため、相続手続を進めることができません。

面倒な問題を引き起こさないよう、未成年者の相続人の扱いにはくれぐれも注意しましょう。

相続税の未成年者控除

相続税の未成年者控除

相続によって得た利益に相続税が課される目的のひとつに、富の再分配があります。

相続では労働の対価でもなく財産がもらえるため、お金のある家に生まれただけで、何の苦労もなく財産を得られるのは不公平という考えから、年齢にかかわらず相続税が課されます。

とはいえ未成年には教育費や養育費が必要となってくるため、その点を考慮してとられている措置が相続税の未成年者控除です。

控除対象

相続時の未成年者控除は、未成年者が相続財産を受け取った際の、相続税による負担の軽減を目的とした制度です。

未成年者控除を受けるためには、主に以下の要件を満たす必要があります。

  • 日本国内に住所があること
  • 18歳未満であること
  • 法定相続人であること

先述した代襲相続のように、被相続人の孫が遺産を相続した場合も、孫が日本国内に居住する未成年者であれば、相続税の未成年控除を受けられます。

相続税の計算方法

相続税の未成年者控除の金額は、相続時の未成年者の満年齢から18歳で成人になるまでの年数×10万円で計算します。

(18歳-相続時の満年齢)× 10万円 = 未成年者控除額

<例:14歳5ヵ月の未成年者が相続する場合の未成年者控除額>

18歳 - 14歳(満年齢)= 4年

4年 × 10万円 = 40万円

未成年者控除は、生まれて間もない乳児にも、もちろん適用できます。

<例:生まれて数ヵ月の乳児が相続する場合の未成年者控除額>

18歳 - 0歳(満年齢)= 18年

18年 × 10万円 = 180万円

相続発生時に母のお腹の中にいる胎児についても、無事に生まれれば相続人になるため、同じ計算式で180万円を控除できますが、相続人が胎児の場合は生まれるまで相続手続を待つことをおすすめします。

一方、その未成年者が以前にも相続税の未成年者控除の適用を受けている場合は、新たな相続で未成年者控除を適用する際に、控除額について制限を受ける可能性があるため注意が必要です。

相続人が未成年者の場合は、未成年者控除の適用を忘れずに受けて、相続税の節税をおこないましょう。

(参照元:国税庁「未成年者の税額控除」

未成年者の相続問題を弁護士に相談すべきポイント

未成年者の相続問題を弁護士に相談すべきポイント

相続人に未成年者がいる場合、通常の相続手続よりも複雑で注意が求められる状況になります。トラブル回避のため、弁護士への相談がおすすめです。

  • 相続人に未成年者がいる場合の適切な判断をしてもらえる
  • 特別代理人選任の手続を任せられる

相続問題はケースごとにとるべき対応が違う上、必要書類も膨大です。ここでは弁護士に依頼するメリットについて解説します。

相続人に未成年者がいる場合の適切な判断をしてもらえる

相続人に未成年者が含まれる場合には、早いうちに弁護士に相談をしましょう。

通常の相続においても、遺産分割や相続人同士の問題などトラブルが生じやすく、法律的に複雑な点が多くあります。相続人に未成年者が含まれると、場合によっては特別代理人の選任など煩雑な手続はさらに増え、専門知識が必要になります。

また、相続税などの税制面に関しても、未成年者控除という制度を利用して節税が可能であるなど、それぞれの場合による知識が必要です。

相続人個人個人がおこなうには手続が複雑で、結果的に遺産分割協議の無効や相続税などで損をしてしまう可能性も。

法律の専門家である弁護士に相談すれば、それぞれのケースに必要な最適な提案をしてもらえるため安心です。

特別代理人選任の手続を任せられる

相続手続全般を弁護士に依頼していれば、特別代理人の選任手続も任せられます。

相続人に未成年者がいるケースのなかでも、特別代理人の選任は重要かつ面倒な手続や専門知識が必要になるポイントです。未成年者の相続において、特別代理人の選任が必要な場合は少なくありません。特別代理人の選任をせずに遺産分割協議を進めると、遺産分割協議自体が無効となり、その後の相続手続が何もできなくなってしまいます。

親族などに特別代理人として適切な人物がいなければ、弁護士などの専門家に依頼するのもひとつの方法です。弁護士に手続を任せておけば、特別代理人の選定も的確かつ円滑に進められます。

未成年者の相続に関するQ&A

未成年者の相続に関するQ&A

未成年者が遺産を相続する場合の手続などについて、よくある疑問点をまとめました。

  • 特別代理人には誰がなれる?
  • 特別代理人がいない遺産分割は有効?
  • 未成年者が成人するまで遺産分割を待つべき?
  • 相続後の未成年者の遺産は誰が管理する?

それぞれの回答を、是非参考にしてください。

特別代理人には誰がなれる?

特別代理人は、相続人や受遺者など遺産分割によって直接的な利益を受けない成人であれば、基本的に誰でもなれます。通常は未成年者の祖父母など、相続人でない親族が特別代理人に選任されるケースが多いです。

しかし専門的な知識がない親族を特別代理人にすると、遺産分割の手続を進めるのに時間がかかったり、相続人間に感情的な対立が起きたりするおそれがあります。

トラブルを防ぐためにも、法律の専門家であり相続問題に詳しい弁護士に、特別代理人になってもらうよう依頼するのがおすすめです。

特別代理人がいない遺産分割は有効?

特別代理人が必要なケースであるにも関わらず、特別代理人を選任せずにおこなわれた遺産分割協議は、無権代理行為として本人の追認等がない限り無効になります。

特別代理人がいないのに遺産分割協議書に未成年の相続人の押印があるということは、遺産分割協議に参加できない未成年者本人がおこなったか、親権者など他の人がおこなったということになるためです。

せっかくおこなった遺産分割協議を無駄にしないために、特別代理人を選任すべき場合には忘れず手続をしましょう。

未成年者が成人するまで遺産分割を待つべき?

相続人である未成年者があと1~2年で成人する場合には、メリットもあるため遺産分割を待ってもよいでしょう。

成人になるまでそれ以上かかる場合には、相続税納付資金の問題や、相続財産が放置されるため不動産などの維持管理に手間や費用がかかるなど、デメリットが多くなるためおすすめできません。

家族関係や資産状況をよく考え、弁護士にも相談したうえで、待つべきかどうかの判断は慎重にしましょう。

相続後の未成年者の遺産は誰が管理する?

未成年者の相続後の遺産は、親権者が管理します。

親は子の財産を管理する権利を持っており、遺産分割によって子の取得財産が決定すれば、その後に親が子の財産を管理することは利益相反に該当しません。

未成年者の親権者が死亡などによりいない場合には、未成年後見人が親権者の代わりに代理人となり、未成年者の世話や財産管理・契約等の法律行為などをおこないます。

未成年後見人は親権者と同じ権利や義務を持ち、未成年が成人するなどして保護をする必要がなくなるまで、継続的にその職務をおこなわなければいけません。

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