令和4年10月16日宅地建物取引士資格試験が行われ、令和4年11月22日に合格発表がされています。
https://www.retio.or.jp/exam/takken_shiken.html
https://www.retio.or.jp/exam/pass/todoufukensentaku.htm
参照。
私も今年の試験を受験し、無事合格することができました。
試験の具体的な話については、各種予備校講師や受験生のブログ等に譲るとして、なぜ弁護士として宅地建物取引士の資格試験を受けたのかについて記載させていただければと思います。
そもそも弁護士は、業務として司法書士、税理士、社労士、行政書士等の業務も行うことが可能であり(なお行うためには別途登録等が必要な業務もあります。税理士法3条1項3号等参照。)、同資格を有していれば非常に広範な範囲で業務を行うことができます(弁護士法3条1項参照。)。
他方で、弁護士資格取得までの道のりで本格的に勉強する法律は、憲法、行政法(行政訴訟法、行政手続法等)、民法、民事訴訟法、会社法、刑法、刑事訴訟法、その他選択科目に限られており、資格を取得したからといって、隣接士業の業務を当然に行える能力がつくわけではありません(この点他の資格でもそうかもしれないですが。https://www.moj.go.jp/shikaku_saiyo_index1.html 参照。)。
そもそも弁護士業自体も資格を取得したからといって、弁護士として広範な業務に対応できる「能力」がただちにつくわけではありません。
弁護士資格試験取得のために勉学に励むことにより、弁護士として活動するための最低限の法的な検討能力を身につけることができますが、実際の問題に対応するためには弁護士になった後も、知識を身につけその能力を高める必要があるといえます。
弁護士資格をもっていても、宅地建物取引士の資格を兼ねることはできないので、宅地建物取引士として業務を行いたいということであれば、資格を取得する必要があります。
私は、現在のところ宅地建物取引士として活動する予定はなく、建物取引士として活動するために資格を取得したわけではありません。
私が、同資格を取得したのは、宅地建物取引士の資格試験のための勉強を通じて、不動産トラブルに関する知見を深めるということにあります。
宅地建物取引士の試験では、弁護士資格の試験では扱わない、宅建業法や建築基準法についてその概要を掴み、各種規制等について学ぶ必要があります。
私は、不動産業者や建設業の顧問先もいることから、日頃から宅建業法や建築基準法に関する質問を受けることがあります。また実際に不動産に関するトラブルを依頼受けることも多く、その度に関連規定を確認して、知識を補充していましたが、正確かつ適切な対応を続けるためには、宅建業法や建築基準法等の法律の概要を勉強する必要があると思うようになりました。
そこで、同範囲を扱う宅地建物取引士の資格試験を受験するに至ったということになります。
以上のように、宅地建物取引士の資格試験は、さらに不動産業に関する知識をつけることが目的なので、それさえ達成できれば特段試験に合格しなくても問題なかったということになりますが、そうはいえど、やはり不合格にはなりたくないという気持ちもあったのが正直なところです。
そのようなモチベーションもあって、宅建業法や建築基準法等不動産業に関する法律の概要を掴むとともに、合格を手にすることができたのではないかと思います。
せっかく取得できた資格なので、何か活かすことができないかというのも模索中です。実際に宅地建物取引士として登録した上で、不動産会社を別の不動産業者と一緒に立ち上げる、現在の顧問先のさらなるサポートとして宅地建物取引士として関与する等。
今回宅地建物取引士資格試験を経て得たものを弁護士業か否かを問わず、依頼者や相談者、私を頼っていただける皆様に還元できればと考えている次第です。
宅地建物取引士の資格試験に合格するために、苦しんでいる方もいらっしゃるようです。
宅地建物取引士の合格を目指していて、何か検索ワードにひっかかってここにこられた方もいるかもしれないので、以下使った教材等の紹介とおすすめポイントを説明させていただきます。
基本的な事項が網羅されている上、ほとんどの説明に条文も引用されています。
弁護士業を行う上では、教科書に書いてあったではなく、どの法律のどの条文にどう書いてあるのかが重要なのでその観点からこの基本書を選びました。法的な素養がなく完全な初学者にとっては読みづらい部分があるかもしれません。
試験対策としてまさに使っていました。宅建試験は、過去問と類似の問題が出題されることも多く、一問一答を分野ごとに一通り行うことで、どこがよく出題されるのか、どういう引っ掛け方をするのか、自分の理解が足りないところを確認し、繰り返すことで、合格に必要な知識を効率よく定着させることができます。
様々な分野に精通した弁護士がご相談を承ります。
問題解決に向け、綿密なコミュケーションを心がけております。
ご相談は無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。