弁護士と一重に言っても、種類は様々です。
仕事内容は非常に多様で、弁護士によって得意とする分野も異なります。
今回の記事では、弁護士の種類から事件の種類による仕事内容などについて解説します。
「どのような内容をどの弁護士に相談するべきか?」
「現在抱えている問題はどの種類の弁護士に相談するべきか?」
などを検討する際の参考にしてください。
活動別の弁護士の仕事内容
弁護士の仕事内容と言うと、裁判所で行われる裁判のイメージが強いでしょう。
しかし、実際にはあまり法廷に出向かず、法律相談や書面の確認業務、交渉業務がほとんどの弁護士も多いです。
ただし、活動内容によっても具体的な業務は異なります。
以下では
- 一般民事
- 刑事事件
- 企業法務
- 公益活動
の4つに分けて、弁護士の仕事について解説します。
一般民事
一般民事とは、個人間や企業同士、または個人と企業との間の紛争解決などです。
簡単にまとめると、私人間のトラブルの解決を指し、原則として当事者が「私人」になります。
民事に関わる主な弁護士業務は、以下の6つです。
- 離婚問題
- 相続問題
- 労働問題
- 債権回収
- 債務整理
- 交通事故
それぞれでどのような業務を行うのか、以下で解説します。
離婚問題
離婚問題では、これから離婚を考えている夫婦のどちらかの代理人として、以下の内容を行います。
- 離婚協議
- 調停
- 訴訟
離婚は、心身的負担が多いため、弁護士のサポートを受けながら、漏れなく交渉を行えます。
また、夫婦間の関係が悪化しているまたは悪化した場合、離婚協議を弁護士が代行できるので、精神的負担が軽減されます。
【弁護士に離婚問題を依頼するメリット】
- 有利な離婚を実現するためのアドバイスができる
- 交渉等の代理を任せられる
- 労力の削減
- 精神的負担の軽減
相続問題
相続問題では、遺産分割協議を中心とした相続問題では、遺産分割協議など相続に関する手続の代理を行います。
弁護士が主に行う業務は、以下の2つです。
- 遺言書の作成
- 遺産分割協議
相続に関する問題は、親族同士のトラブルになるケースが多いので、第三者の弁護士が介入することで、円滑に問題を解決できます。
【相続問題を弁護士に依頼するメリット】
- 遺産分割協がスムーズに進む
- 相続人と直接話をする必要がない
- 遺留分請求の手間を削減
- 相続手続き代行が可能
- 遺言書のミスがなくなる
- 財産や相続人調査ができる
- 相続放棄の判断を仰げる
労働問題
労働問題は、労働者と企業間でのトラブルです。
主に弁護士が介入するケースは、以下の2つ。
- 残業代が適切に支払われていない
- 不当解雇された
上記のような場合に、弁護士が会社に対して残業代の請求や解雇の無効を主張します。
また「不当解雇にあたるのか?」「残業代はこの金額で妥当なのか?」といった相談に対するアドバイスや交渉で解決しない場合の法的サポートも可能です。
【労働問題を弁護士に依頼するメリット】
- 手間や負担の軽減
- 交渉を有利に進められる
債権回収
債務不履行となっている貸付金や売掛金などの回収も、弁護士業務の一つです。
個人では行いにくい取引先への催促や、内容証明郵便での催促、さらには民事調停続きから訴訟手続きまで行います。
また、弁護士によっては債権回収代行の依頼も可能です。
債権回収においては、個人からの依頼を受ける場合もあれば、企業からの依頼を受ける場合もあります。
【弁護士に債権回収を依頼するメリット】
- 回収率が上がりやすい
- 回収できない可能性があった債権を回収できる可能性があがる
- 相手先に接触することなく債権回収手続きを行える
債務整理
債務整理とは、借金を減らしたり、支払いに猶予を持たせたりする手続きです。
個人でも債務整理は行えますが、スムーズな債務整理を行うためには、弁護士の力が必要になります。
弁護士が債務整理を受任した場合の業務は、以下のとおりです。
- 債務整理のための債権者との交渉(任意整理)
- 裁判所を介した手続き(破産・個人再生)
債務整理には、4つの方法がありますが、債務者の状況に合わせた適切な方法のアドバイスを行うことも可能です。
【債務整理を弁護士に依頼するメリット】
- 最適な債務整理の方法を選択できる
- 債務者本人が債権者と交渉等のやり取りをする必要がなくなる
- 資料収集や書面作成等の手続きを任せられる
交通事故
交通事故の被害に遭った場合や加害者となった場合には、弁護士が代理人となり、示談交渉を行います。
被害者の場合は、弁護士に依頼した場合、弁護士基準での賠償金を獲得しやすくなります。
加害者の場合は、被害者との直接対面を省いたり、適切妥当な金額の賠償金を支払ったりすることを実現できます。
【交通事故を弁護士に依頼するメリット】
- 手間の削減
- 被害者・加害者共に対面交渉を省ける
- 適切な賠償金で交渉できる
- 慰謝料が増額する可能性が上がる
- 治療の打ち切り交渉が可能
- 適切な過失割合で合意できる
- 適切な後遺障害認定を受けられる
刑事事件
刑事事件では、傷害や窃盗など、犯罪行為をしたとして疑われる者に対して、警察や検察が捜査した上で、裁判において刑罰を科すかどうかの判断がされます。
刑事事件の手続きは、大きく捜査・裁判・執行の流れで行われます。
刑事事件において、弁護士が行う業務は、主に以下の5つです。
- 被告人の弁護人として出廷すること…被告人が言いたいことや主張したいことを裁判所に伝える
- 証拠の収集や分析…被告人の供述や証言、証拠資料などの調査
- 裁判の戦略の立案…被告人の立場や弱点を分析し、それに対する戦略を策定
- 被告人のために有利な和解交渉…被告人の立場を考慮し、和解交渉を行う
刑事事件で罪に問われている被疑者・被告人は外部との自由なやり取りができないため、弁護士によるサポートが必要不可欠です。
企業法務
企業法務とは、文字通り企業を対象にした法律的な支援です。
事業活動を行う上で法的な問題やリスクを回避・解決するためのアドバイスなどを行います。
企業によっては、法務部で行う場合もありますが、顧問として弁護士に依頼するケースもあります。
企業法務の主な業務内容は、以下のとおりです。
- 契約書チェック
- リーガルアドバイス
- 労務管理
- 取引の監修
- 行政とのやり取り
- 国際法務
- 債務整理
それぞれでどのような業務を行うのか、以下で解説します。
契約書チェック
契約書チェックでは、企業が取引や契約を行う際に作成する契約書を、法的観点から確認・検証し、問題がある部分を指摘する業務です。
主な確認ポイントは、以下の5つ。
- 契約書の明確化…取引の内容・責任の所在・期間・料金・契約解除方法 など
- 法的な制約の確認…法律に抵触するかどうか・法的要件を満たしているかどうか など
- 約款の解釈…契約当事者間で明確であるかどうかを確認
- リスク分析…リスクが企業にどのような影響を与えるかを分析し、アドバイスを行う
- 契約書の改善提案…紛争解決条項の改善・契約期間の変更・保証金の取り扱い など
契約書の確認により、トラブルが起きてからではなく、トラブルが起きる前の予防も可能です。
リーガルアドバイス
リーガルアドバイスは、企業が取引や事業活動を行う上で直面する法的問題について、法律上の観点からアドバイスを行います。
主にアドバイスを行う部分は、以下の4つです。
- 法律上のリスクの分析…契約や取引に関する法的リスク・知的財産権の問題・労働法や税法に関するリスク など
- 法律上の規制の遵守…許認可の取得・消費者保護法・競争法に基づく規制の遵守 など
- 法律上の問題解決…顧客との紛争や契約上のトラブル・知的財産権の侵害 など
- 法律上のリスク回避策の提案…契約書の作成・内部統制の強化 など
トラブルが発生した後ではなく、新しい事業活動を行う際のトラブルの防止のために相談されるケースが多いです。
労務管理
労務管理は、企業における従業員の雇用に関する法的な問題を労働法に基づいてアドバイスを行ったり、交渉・訴訟などを行ったりします。
労務管理の主な業務は、以下のとおりです。
- 雇用契約の作成・確認…適法かつ適切な内容であるかを確
- 労働法に基づくリーガルアドバイス…労働契約の更新や解雇・賃金や残業手当などに関する問題 など
- 労働トラブルの解決…企業が従業員とトラブルになった場合の和解交渉の支援・裁判における代理人として出廷する など
- 労働法に基づく教育・研修…労働法に基づいた教育・研修の企画・実施の支援
企業と従業員の間でトラブルが起きた場合だけではなく、社員が適切に働くための研修まで行うのも、弁護士業務の一つです。
取引の監修
金融取引やM&A取引を行う際に、弁護士が介入するケースがあります。
とくに大規模な取引が検討される場合は、弁護士が当初から検討に加わり、法的な観点から取引全体を監修します。
主に行う業務は、以下のとおりです。
- 取引契約の作成・レビュー
- 法的リスクの分析・評価
- 取引相手企業との交渉支援
- トラブル解決
取引のスキームが法的に問題ないかの確認に加えて、自社が不利にならないようなリスク軽減にも繋がります。
行政とのやり取り
企業は、ビジネスの内容に応じて、各種監督官庁による監督・規制を受けています。
これらの監督・規制を無視してしまうと行政処分や行政指導が行われ、企業にとって大きなデメリットになります。
このような場合にも、弁護士によるアドバイスが可能です。
- 行政手続きの支援
- 行政機関との交渉支援
- 行政処分による対応支援
- 行政訴訟における代理人業務
上記のような業務を、弁護士が行います。
国際法務
海外企業と取引が発生するような、国を超えて実施される取引を「クロスボーダー取引」と言います。
クロスボーダー取引においても、国内での取引と同じように、契約書チェックなどを行います。
主な弁護士業務は、以下のとおりです。
- 国際契約のチェックと作成
- 法規制の調査とアドバイス
- 紛争解決支援
- 国際的な知的財産権の保護
- 海外投資の支援
クロスボーダー取引は、国内間で取引される内容よりも注意事項が多いので、必ず弁護士に依頼しましょう。
債務整理
債務整理は、個人ではなく法人が行う場合もあります。
主な業務内容は、以下のとおりです。
- 法人破産…債務超過等の状況になった場合に、企業を清算するための手続き。弁護士は、企業の状況を調査し、法人破産の手続きを行います。
- 民事再生…債務超過等の状況にある企業を再生させるための手続き。弁護士は、債権者と交渉し、再生計画の作成や提出を行います。
- 会社更生…民事再生手続きのうち、経営陣が留任して企業を再建するための手続き。弁護士は、再生計画の作成や提出を行い、企業の再建を支援します。
- 債務整理…企業の破産や再生が必要な場合に行われます。弁護士は、債権者と交渉し、債務整理の手続きを行います。
弁護士によっては、裁判所からの依頼を受けて、法人破産に関する破産管財人としての業務を請け負う場合があります。
公益活動
公益活動は、弁護士による社会奉仕活動を指します。
弁護士が公益活動を行うのは、弁護士法1条1項に定められているからです。
第一章 弁護士の使命及び職務
(弁護士の使命)
第一条 弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。
2 弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。引用元:弁護士法 | e-Gov法令検索
主に公益活動として行われるのは、以下の3つです。
- 弁護士会の会務
- 自治体などの法律相談
- 大学などでの講義
それぞれの活動内容について解説します。
弁護士会の会務
日本で弁護士業務を行う場合は、日本弁護士連合会への登録と同時に弁護会に加入しなければいけません。
日本で弁護士業務を行おうとする場合は、必ず、日本弁護士連合会に登録すると同時に、全国52の単位会のいずれかに所属しなければなりません(これを「強制加入団体」といいます)。
これらの弁護士会では、弁護士の権利や法的制度の改善、弁護士の利益を守るために活動しています。
会務の業務内容は、主に以下の4つです。
- 弁護士会の運営…各種委員会の活動・会員の相談業務 など
- 法曹界の発展…セミナーや研修会の開催・研究会活動 など
- 弁護士の権利の擁護活動…法曹団体や政府機関などに対する提言活動・法案の改正に関する提言活動 など
- 公益法務活動…人権侵害の救済・法的アドバイスの提供・法テラスへの支援 など
場合によっては、各弁護士会の会長や副会長に就任します。
自治体などの法律相談
自治体などでは、公益活動として、法律相談を開催するケースがあります。
法律相談では、一般市民や企業などが抱える法的問題に対して、弁護士が無料でアドバイスを行います。
主な内容は、以下のとおりです。
- 市民の法的問題の解決支援
- 紛争解決支援
- 法的知識の普及啓発
自治体による法律相談は無料ですが、法律相談から実際の案件の依頼へ繋がるケースもあります。
大学などでの講義
公益活動の一貫として、大学などで講義を行う場合があります。
主な内容は、学生や一般向けの法律知識の普及啓発です。
例として、以下のような講義を行います。
- 法律に関する講義の開催…専門的な法律知識や法律制度についての講義
- 実務に関する講義の開催…実務経験を元にした講義の開催(訴訟や交渉における具体的な技術・契約書作成のポイント など)
- 学生の指導・支援…法科大学院などでの授業において、学生の指導・支援。研究指導やゼミの講師を務めるケースもある
これらの講義は、将来弁護士を目指す学生のための重要な活動と言えます。
弁護士の種類は主に3つ
弁護士の種類は、大きく分けて以下の3つです。
- 国選弁護人
- 私選弁護人
- 当番弁護士
それぞれがどのように違うのかを、以下で解説します。
国選弁護人
国選弁護人とは、国が設置した法律に基づき、被疑者や被告人が弁護士を選任することが困難な場合に、国が選定し、費用を負担して弁護を担当する弁護士です。
刑事訴訟法に基づいて、刑事事件において国選弁護人が任命される場合があります。
ただし、国選弁護人をつけるには、以下の条件を満たしていなければいけません。
- 逮捕された犯罪について法律で定められた刑が死刑または無期懲役・禁錮刑の上限が3年を超えている懲役・禁錮に当てはまっていること
- 被疑者が勾留されていること
- 資力が50万円以下であること
そのため、軽微な事案である場合や逮捕段階で勾留に至っていない場合などは、国選弁護人をつけることはできません。
私選弁護人
私選弁護人は、被疑者や被告人が自分で選任する弁護士です。
私選弁護人も国選弁護人も、権利や権限は変わりません。
また、個人で依頼するため、交代や解任も任意で行えます。
ただし、私選弁護人は自己費用を負担しなければいけません。
その費用は、事務所によって差がありますが、おおよそ30万円~100万円程度かかります。
当番弁護士
当番弁護士とは、逮捕から起訴までに一度だけ報酬なしで相談できる弁護士です。
各地域の弁護士会において、被疑者のために待機しており、被疑者や家族が弁護士会に連絡した際に、当番弁護士が無料で接に来ます。
当番弁護士はその日によって担当が異なるので、依頼者側で選ぶことはできません。
法律事務所と弁護士事務所の違い
弁護士が所属する事務所には、大きく分けて「法律事務所」と俗語の「弁護士事務所」があります。
ただし、本来弁護士の所属する事務所は、すべて「法律事務所」という名称を用いなければいけないと弁護士法で定められています。
そのため、弁護士が設置する事務所であれば、いずれも法律事務所です。
以下では、法律事務所の種類として、8つを紹介します。
- 五大法律事務所
- 企業法務系法律事務所
- 一般民事・刑事法律事務所
- ブティック型法律事務所
- 弁護士法人
- 弁護士法人ではない法律事務所
- 外国法事務弁護士事務所
- 外国法共同事業
それぞれの特徴などについて解説します。
五大法律事務所
五大法律事務所とは、日本の法律業界において、最大規模かつ最高水準の法律事務所を指します。
具体的には、以下の5つです。
1. 西村あさひ法律事務所
2. アンダーソン・毛利・友常法律事務所
3. 長島・大野・常松法律事務所
4. 森・濱田松本法律事務所
5. TMI総合法律事務所
これらの法律事務所は、世界的な企業や金融機関などの大規模クライアントを抱え、高度な専門性を持つ弁護士たちが多数在籍しています。
また、国際的な業務にも力を入れており、グローバルな活躍も行っています。
企業法務系法律事務所
企業法務系法律事務所は、名前のとおり企業の法務業務に特化している事務所です。
企業法務系法律事務所は、企業が直面する様々な法律問題に対応するための法的アドバイスや支援を行い、企業の法務部門と連携して、契約書の作成・審査や訴訟・紛争解決、労務問題の解決などの業務を担当します。
場合によっては企業の法務部門と密接に連携し、企業のビジネスをサポートを行います。
そのため、企業法務に関する知識を持つ弁護士が多数在籍し、契約法や労働法、知的財産法などの専門的な分野にも強い専門性を持っているのが特徴です。
一般民事・刑事法律事務所
一般民事・刑事法律事務所とは、民事や刑事事件に関する法律問題を扱う法律事務所です。
個人や企業が関与する法律問題に対応するために、民事訴訟や刑事訴訟の手続きを代理し、裁判での主張や訴えを行います。
比較的規模数が小さく、在籍している弁護士が数十人以下といったケースがほとんどです。
昨今では、税理士、司法書士、弁理士など、隣接分野の専門家を法律事務所で雇用し、ワンストップで顧客対応する法律事務所も増えてきています。
ブティック型法律事務所
ブティック型法律事務所とは、ある特定の分野に特化し、高度な専門知識や経験を持つ弁護士が集まって設立された法律事務所です。
大手総合法律事務所と比較すると規模が小さい場合が多いものの、専門性の高さに特化しています。
特化している分野は様々ですが、主に以下のような分野に強みを持っています。
- 金融
- 知財
- 労働
- 不動産
- 医療
- 税法
特定の分野に特化しているため、その分野についての法律相談においては強い味方となるでしょう。
弁護士法人
弁護士法人とは、複数の弁護士が共同で事業を行うために設立される法人です。
以前は弁護士法人の設立は認められていませんでしたが、2002年4月の弁護士法改正により、弁護士法人の設立が認められるようになりました。
2002(平成14)年4月から、弁護士は法律事務を行うことを目的とする弁護士法人を設立することができるようになりました。弁護士法人は成立のときに、その法律事務所を設けた地域の弁護士会の会員となり、同時に日弁連の会員となります。
引用元:日本弁護士連合会
弁護士法人は、法人としての役割として一般企業と同様の法的責任がありますが、その業務内容は弁護士法人としての業務に限られます。
つまり、弁護士法人が行うことができる業務は、主に法律に関する業務であり、一般企業が行う業務とは異なります。
弁護士法人に属さない法律事務所
弁護士法人に属さない法律事務所は、弁護士法人とは異なり、個人事業主や有限責任事業組合など、法人格を持たない形態で運営される法律事務所です。
また、弁護士が独立して開業している個人法律法律事務所も含まれます。
弁護士法人に比べて規模が小さい場合が多いため、特定の分野に特化したり、地域に密着したサービスを提供するケースが多いです。
弁護士法人のような細かい取り決めはありませんがしかし、弁護士1人につき1つの事務所しか持てないというルールがあります。
外国法事務法律事務所
外国法事務弁護士事務所とは、外国法を扱うことに特化した法律事務所です。
主に、外国企業や個人の日本国内でのビジネス展開や法律問題に関するアドバイスを行います。
外国法には、法的システムや文化、言語などによる差異があり、それを踏まえた上で適切なアドバイスを行うことが求められます。
外国法事務弁護士事務所では、外国法に精通した弁護士が多数在籍し、そのネットワークを活かして海外の法律事務所との提携や協力を行い、より高度な法律サービスを提供することができます。
外国法共同事業
外国法共同事業とは、日本国内において外国法に特化した専門的な業務を行うために、日本の府立事務所と外国の法律事務所が共同で事業を行うことを指します。
外国法に精通している外国の法律事務所と、日本の法律事務所がそれぞれ持つ強みを組み合わせることで、外国のクライアントに対してより高品質なサービスを提供できます。
以前は外国法共同事業は認められていませんでしたが、2003年の外弁法の改正をうけて、提供可能となりました。
ただし、外国法共同事業を行う場合は、日弁連に届出を出さなければいけません。
「外国法共同事業」を行う外国法事務弁護士・外国法事務弁護士法人・弁護士・弁護士法人・共同法人は、日弁連に届出をしなければなりません(外弁法第52条、会則第28条の2、外国法共同事業に関する規程第10条、外国法共同事業届出等取扱規則)。
弁護士の働き方の種類
弁護士としての働き方にも、いくつかの種類があります。
主な種類は、以下の5種類です。
- 法律事務所勤務
- 独立開業
- 自治体内弁護士
- 企業内弁護士
- 公設事務所弁護士
それぞれでどのように異なるのか、以下で解説します。
法律事務所勤務
多くの場合は弁護士資格取得、法律事務所に所属します。
新任弁護士でも法律知識はありますが、細かいノウハウを持ち合わせていません。
そのため、法律事務所に所属して、先輩弁護士から技術などを学びます。
法律事務所の規模については様々で、一人で行っている個人事務所から、幅広い業務を行っている大きい事務所もあります。
それぞれのメリットデメリットは、以下のとおりです。
- 個人事務所・規模の小さい事務所のメリット…弁護士と信頼関係を結びやすい・一定分野に特化している可能性が高い
- 個人事務所・規模の小さい事務所のデメリット…新規相談を受け付けられない場合がある
- 大手事務所のメリット…弁護士の数が多いため、いつでも相談に乗れる・対外的な信用力がある・幅広い知識を有している
- 大手事務所のデメリット…弁護士を選任できない場合がある
独立開業
弁護士として、独立開業しているケースもあります。
一度弁護士事務所または法律事務所で経験を積んでから独立するのが一般的な流れです。
独立開業している弁護士は、地域密着であったり、小回りが利くなどのメリットがあります。
ただし、一つの事務所に数名の弁護士がいないケースがあるので、担当弁護士を変えたい場合は、事務所ごと変えなければいけません。
自治体内弁護士
自治体内弁護士とは、市町村や都道府県などの自治体に所属する弁護士を指します。
自治体内弁護士の主な業務内容は、以下のとおりです。
- 自治体が抱える法律問題について助言や指導
- 自治体が関与する訴訟についての代理人
- 規則や条例の策定
- 各種の法律相談及び住民対応
ただし、自治体内弁護士は公務員であるため、兼業は禁止されています。
基本的に自治体の職務以外の弁護士の活動は出来ません。
しかし、自治体の許可をとることが出来れば、兼任も可能です。
企業内弁護士
企業内弁護士とは、会社の法務部などで会社員として働く弁護士です。
主な業務内容は、以下のとおり。
- 企業が抱える法的問題やリスクについて、法律的な助言や指導
- 企業が取引や契約を行う際の法的な相談や対応
- 訴訟・紛争の対応
- 知的財産権の管理
- 規制やコンプライアンスの遵守
など
さらには、企業のビジネスに対する理解を深め、ビジネス戦略に合わせた法的なアドバイスを提供するケースもあります。
一般的に、企業内弁護士は、社内のコスト削減や機密保持などの理由から、企業の外部に弁護士を委託するケースが少なくありません。
また、昨今では企業のコンプライアンスが重視されていることから、企業内弁護士が急増している傾向があります。
2018年からの企業内弁護士の推移は、以下のとおりです。
- 2018年…2,161人
- 2019年…2,418人
- 2020年…2,629人
- 2021年…2,820人
- 2022年…2,965人
(参考元:組織内弁護士の統計データ – 日本組織内弁護士協会|JILA)
公設事務所弁護士
公設事務所弁護士とは、国や地方自治体などが設置する公設法律援助事務所に所属する弁護士を指します。
公設法律援助事務所は、低所得者や弱者などの法的援助を行うことを目的としており、民事や刑事、家事などの様々な法律問題について無料または低料金で法律相談や法律援助を提供しています。
主な業務は、以下のとおりです。
- 法律相談の受付と対応…法律相談を無料または低料金で受け付け
- 法的手続きの代理…民事訴訟や刑事事件などの法的手続きについての代理
- 法律文書の作成…訴状や申立書などの法的文書の作成
- 法的知識の普及や啓発活動を
東京弁護士会が支援する都市型公設事務所としては、以下の3つがあります(2023年時点)
- 弁護士法人 東京パブリック法律事務所…豊島区南池袋2-49-7池袋パークビル4階
- 弁護士法人 北千住パブリック法律事務所…足立区千住3-98-604千住ミルディスII番館
- 弁護士法人 多摩パブリック法律事務所…立川市曙町2-34-7ファーレイーストビル2階
弁護士と一重に言っても相談先は多数
「弁護士」という職業は一つですが、細かく分けると、弁護士にも種類や勤務先は様々です。
いずれも法律の知識に長けているため、どのような法律相談もできます。
しかし、それぞれの弁護士によって得意としている分野が異なるので、できるだけ専門に特化している弁護士を選んだ方が良いでしょう。
特化している分野の経験が豊富な弁護士であれば、どのようなトラブルも解決までがスムーズになりやすいです。
また「弁護士に相談したいけど費用が気になる」といった場合は、自治体での無料相談などの利用や、弁護士事務所で実施されている無料相談を利用してみてください。
ほとんどの場合、30分無料などとしているので、弁護士選びの際に役立ちます。
ぜひ、何かしらのトラブルを抱えていたり悩んでいたりする場合には、今回の記事を参考に、自身の悩みやトラブルにあった弁護士を選んでください。