孫に遺産相続させる方法6選

「孫に遺産を相続させたいが、方法がわからない」

「できるだけ税金がかからない方法で孫に財産を渡したい」

将来の遺産相続を考えたときに、孫に財産を渡したいと希望する人は多いでしょう。

通常、孫は法定相続人にならないため、対策をしないまま相続が発生してしまうと財産を残せなくなってしまう可能性があります。

今回の記事では、孫に遺産相続できるケースや、遺産相続以外で財産を渡す方法について詳しく解説します。

孫に財産を渡す際のメリットとデメリットも紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。

目次

孫は法定相続人にならないのが原則

孫は法定相続人にならないのが原則

民法では相続人として遺産を受け取る権利のある法定相続人を定めており、原則として孫は法定相続人に含まれません。

被相続人(亡くなった人)の子どもが生存している場合、孫よりも子が優先的に相続権を有するためです。

しかし、子どもが孫よりも先に亡くなっているなど、特定の条件下では孫が相続人となるケースもあります。

(子及びその代襲者等の相続権)

第八百八十七条 被相続人の子は、相続人となる。

2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。

3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。

引用元:e-GOV法令検索 / 民法第887条

基本的に、孫が相続人として相続に関わるケースは、例外的な状況下に限られるというわけです。

孫に財産を残したいと考える人は多いですが、子どもが生きている場合には、原則として孫は法定相続人にならないことを理解しておく必要があります。

法定相続人とは

法定相続人とは

法定相続人とは、民法で定められた被相続人の財産を相続する権利をもつ人です。

被相続人と婚姻関係にある配偶者は、常に相続人になります。

(配偶者の相続権)

第八百九十条 被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。

引用元:e-GOV法令検索 / 民法第890条

配偶者以外の法定相続人に関しては、相続人となる際の優先順位が決められています。

配偶者以外の法定相続人間の優先順位は、具体的には以下のとおりです。

第1順位 被相続人の子ども
(死亡している場合は孫など)
第2順位 被相続人の直系尊属(父母や祖父母など)
第3順位 被相続人の兄弟姉妹
(死亡している場合は甥・姪)

被相続人に配偶者と子どもがいる場合、相続人は配偶者と子どもです。

被相続人に配偶者と子ども・孫などがいない場合には、父母や祖父母のみが相続人になります。

(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)

第八百八十九条 次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。

一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。

二 被相続人の兄弟姉妹

2 第八百八十七条第二項の規定は、前項第二号の場合について準用する。

引用元:e-GOV法令検索 / 民法第889条

なお、法定相続人が相続を放棄した場合は、はじめから相続人でなかったものとみなされます。

そのため子どもが相続放棄をした場合でも、孫は相続人にはなりません。

法定相続人の相続割合

相続が発生した時点、すなわち被相続人が死亡した時点において、被相続人の子ども(孫の親)がすでに亡くなっている場合は、代襲相続によって孫が相続権を受け継ぎます。

代襲相続における孫の法定相続割合は、被相続人の子どもが生存していれば受け取っていたであろう相続分と同等です。

民法では、法定相続人の相続割合を以下のように定めています。

相続する法定相続人 相続割合
配偶者と子ども 配偶者:2分の1

子ども:2分の1

配偶者と直系尊属 配偶者 :3分の2

直系尊属:3分の1

配偶者と兄弟姉妹 配偶者 :4分の3

兄弟姉妹:4分の1

代襲相続によって配偶者と孫が相続人となる場合、孫の相続割合は被相続人の子どもと同じ「2分の1」です。

孫が複数いる場合は全員で2分の1となるため、2人のときは1人あたり4分の1、3人のときは1人あたり6分の1になります。

ただし、民法で定めている相続割合は、相続人の間で遺産分割に合意できなかった場合の持ち分であるため、必ずしも上記の相続割合のとおりに相続がなされるとは限りません。

なお、法定相続人や代襲相続人の相続割合は、民法第900条及び第901条で規定されています。

(法定相続分)

第九百条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。

一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。

二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。

三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。

四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

引用元:e-GOV法令検索 / 民法第900条

(代襲相続人の相続分)

第九百一条 第八百八十七条第二項又は第三項の規定により相続人となる直系卑属の相続分は、その直系尊属が受けるべきであったものと同じとする。ただし、直系卑属が数人あるときは、その各自の直系尊属が受けるべきであった部分について、前条の規定に従ってその相続分を定める。

2 前項の規定は、第八百八十九条第二項の規定により兄弟姉妹の子が相続人となる場合について準用する。

引用元:e-GOV法令検索 / 民法第901条

孫が遺産相続できる2つのケース

孫が遺産相続できる2つのケース

被相続人の孫が遺産を相続できるケースには、以下の2つがあります。

  • 養子縁組をする
  • 代襲相続をする

孫は原則として相続人にはなりませんが、養子縁組もしくは代襲相続であれば孫の財産相続が可能です。

それぞれのケースについて、以下で詳しく確認していきましょう。

養子縁組をする

被相続人と孫が養子縁組をしていれば、子として相続人となり得ます。

養子縁組は、養親と養子の間に、法律上の親子関係を結ぶための制度です。

被相続人の養子となった孫は、実子と同じ権利をもつため、第1順位の法定相続人として被相続人の財産を相続できます。

ただし、相続税の基礎控除額の計算上、相続人になれる養子の人数には限りがあるので注意してください。

養子縁組を行って、相続税の基礎控除額を不当に増やそうとするのを防止するためです。

具体的には、相続税法では以下のように定められています。

(遺産に係る基礎控除)

第十五条

2 前項の相続人の数は、同項に規定する被相続人の民法第五編第二章(相続人)の規定による相続人の数(当該被相続人に養子がある場合の当該相続人の数に算入する当該被相続人の養子の数は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める養子の数に限るものとし、相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続人の数とする。)とする。

一 当該被相続人に実子がある場合又は当該被相続人に実子がなく、養子の数が一人である場合 一人

二 当該被相続人に実子がなく、養子の数が二人以上である場合 二人

引用元:e-GOV法令検索 / 相続税法第15条第2項

法定相続人の数に含められる養子は、被相続人に実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までが基本となっています。

相続に直接制限がかかるわけではありませんが、税金面からトラブルになるケースがあるので事前に把握しておきましょう。

代襲相続をする

孫の親、つまり被相続人の子どもが亡くなっている場合、代襲相続が発生し孫が相続人となります。

代襲相続とは、法定相続人が被相続人が亡くなるよりも前に死亡している場合や、相続権を失っている場合に、その子どもが代わりに相続する仕組みです。

(子及びその代襲者等の相続権)

第八百八十七条

2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。

引用元:e-GOV法令検索 / 民法第887条第2項

孫が亡くなった親の代わりに、遺産の相続人になれることが民法で認められています。

代襲相続が発生すると、亡くなった親が生存していた場合に受け取れるはずだった相続分を、その子どもである孫が受け継ぎます。

遺産相続以外で孫へ財産を渡す方法6選

遺産相続以外で孫へ財産を渡す方法6選

遺産相続以外にも、孫に財産を渡すためのさまざまな方法があります。

  • ①遺言書で指定する
  • ②暦年贈与をする
  • ③教育資金の贈与をする
  • ④住宅取得等資金の贈与をする
  • ⑤結婚・子育て資金の贈与をする
  • ⑥生命保険金の受取人に指定する

孫に財産を渡したいと考えているときは、遺産相続のみに限らず、これらの方法も検討しましょう。

代表的な6つの方法について、以下で具体的に解説していきます。

①遺言書で指定する

遺言書による指定は、相続人にではない孫に対して財産を遺贈する意志を明確に示せる直接的な方法です。

有効な遺言書であると認められれば、民法で定められた法定相続人や相続割合よりも、原則として遺言書の内容が優先されます。

そのため、相続人ではない孫に対しても、被相続人の意思で財産の遺贈が可能です。

ただし、兄弟姉妹を除く法定相続人には、遺留分と呼ばれる最低限の相続財産の割合が認められている点に注意が必要です。

(遺留分の帰属及びその割合)

第千四十二条 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第一項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。

一 直系尊属のみが相続人である場合 三分の一

二 前号に掲げる場合以外の場合 二分の一

2 相続人が数人ある場合には、前項各号に定める割合は、これらに第九百条及び第九百一条の規定により算定したその各自の相続分を乗じた割合とする。

引用元:e-GOV法令検索 / 民法第1042条

法定相続人別の遺留分の割合は、以下のように定められています。

法定相続人 遺留分の割合
配偶者のみ 2分の1
子どものみ 2分の1
直系尊属のみ 3分の1
配偶者と子ども 配偶者4分の1

子ども4分の1

配偶者と直系尊属 配偶者3分の1

直系尊属6分の1

遺言書の内容が上記の割合を侵害している場合、対象の法定相続人が遺留分侵害額請求権を行使することで、孫に対して希望する財産を渡せなくなってしまうおそれがあります。

(遺留分侵害額の請求)

第千四十六条 遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。

引用元:e-GOV法令検索 / 民法第1046条第1項

②暦年贈与をする

孫へ財産を渡す手段として、歴年贈与によって生きている間に財産を引き継ぐ方法があります。

暦年贈与は贈与方法の一つで、1月1日から12月31日までの1年間に贈与した金額が一定以下であれば、贈与税がかからないという仕組みを用いたものです。

基礎控除額は受贈者一人につき年間110万円であるため、年間110万円以下であれば、非課税で財産の贈与が可能です。

ただし、亡くなる直前の一定期間以内に行われた歴年贈与については、相続税の課税価格に加算されるので注意しましょう。

加算期間については、2023年まで相続開始前3年以内が対象でしたが、税制改正によって2024年以降は7年以内に延長されました。

相続又は遺贈により財産を取得した方が、その相続開始前7年以内(改正前は3年以内)にその相続に係る被相続人から暦年課税による贈与により財産を取得したことがある場合には、その贈与により取得した財産の価額(その財産のうち相続開始前3年以内に贈与により取得した財産以外の財産については、その財産の価額の合計額から100万円を控除した残額)を相続税の課税価格に加算することとされます。

引用元:国税庁 / 令和5年度相続税及び贈与税の税制改正のあらまし(令和5年6月)

歴年贈与は税負担を最小限に抑えつつ、財産を移転したい場合に有効な方法ですが、相続税対策で活用する場合には計画的に行う必要があります。

③教育資金の贈与をする

教育資金の一括贈与による非課税制度を利用して、孫に贈与する方法もあります。

教育資金の一括贈与非課税制度とは、30歳未満の子どもや孫に対して教育資金を一括で贈与すると、最大1,500万円まで贈与税が非課税となる制度です。

平成25年4月1日から令和8年3月31日までの間に、受贈者(教育資金管理契約を締結する日において30歳未満の人に限ります。)が、教育資金に充てるため、金融機関等とのその教育資金管理契約に基づき、贈与者(受贈者の直系尊属である父母や祖父母など。)から信託受益権を取得した場合、書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合または書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合には、その信託受益権または金銭等の価額のうち1,500万円までの金額に相当する部分の価額については、取扱金融機関の営業所等を経由して教育資金非課税申告書の提出等をすることにより、受贈者の贈与税が非課税となります。

引用元:国税庁 / No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税

1,500万円の非課税枠が適用されるのは、入学金や授業料など学校に直接支払われる金銭を用途とする贈与に限られます。

500万円以内であれば、学習塾や習い事の費用にも充てられます。

ただし、教育資金の一括贈与非課税制度を利用できるのは、2026年3月31日までとなっているため注意が必要です。

なお、贈与を受けた日の前年の受贈者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、この非課税制度は適用されません。

④住宅取得等資金の贈与をする

孫に対して住宅取得等資金の贈与を行うと、最大1,000万円まで非課税となる特例を受けられる可能性があります。

令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得または増改築等(以下「新築等」といいます。)の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」といいます。)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、次の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります(以下「非課税の特例」といいます。)。

引用元:国税庁 / No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

上記では令和5年12月31日までとなっていますが、令和6年度の税制改正によって適用期限が3年間延長されました。

住宅取得等資金の贈与の特例による非課税限度額は、次のとおりです。

住宅の種類 非課税限度枠
省エネ・耐震・バリアフリーのいずれかの基準を満たす質の高い住宅 1,000万円
一般住宅 500万円

住宅取得等資金の贈与の特例を適用できるのは、住宅の新築・取得または増改築などに使用する資金の贈与に限られます。

また、非課税限度額が1,000万円となるのは、「質の高い住宅」として以下のいずれかの基準を満たす住宅です。

  1. 断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上
  2. 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物
  3. 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上

取得する住宅の要件のほかにも、受贈者の要件が詳細に定められているため、特例を適用できるかどうかは事前に確認しておく必要があります。

⑤結婚・子育て資金の贈与をする

孫に財産を渡す方法として、結婚・子育て資金の贈与をするのも一つの選択肢です。

18歳以上50歳未満の孫に対して、結婚・子育て資金の贈与を行った場合に、最大1,000万円まで贈与税が非課税となる制度があります。

平成27年4月1日から令和7年3月31日までの間に、受贈者(結婚・子育て資金管理契約を締結する日において18歳以上50歳未満の人に限ります。)が、結婚・子育て資金に充てるため、金融機関等とのその結婚・子育て資金管理契約に基づき、贈与者(受贈者の直系尊属である父母や祖父母など。)から信託受益権を取得した場合、書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合または書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合には、その信託受益権または金銭等の価額のうち1,000万円までの金額に相当する部分の価額については、取扱金融機関の営業所等を経由して結婚・子育て資金非課税申告書の提出等をすることにより贈与税が非課税となります。

引用元:国税庁 / No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税

この制度を利用すれば、孫の結婚費用や子育て費用として、まとまった金額を非課税で渡せます。

非課税となる限度額は最大1,000万円ですが、挙式費用や結婚披露費用・転居費用など結婚に際して支払う費用に関しては300万円が限度です。

非課税制度を適用させるには、結婚・子育て資金用の口座を開設し、金融機関を通じて税務署に申告書を提出する必要があります。

教育資金の一括贈与と同様に、贈与を受けた日の前年の受贈者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、この非課税制度は適用されません。

⑥生命保険金の受取人に指定する

生命保険金の受取人を孫に指定する方法は、亡くなった後に孫へ直接金銭を渡す手段として有効です。

生命保険金は、受取人固有の財産として扱われるため、基本的に遺産分割の対象にはならないからです。

ただし、被相続人が被保険者・契約者である生命保険金は、「みなし相続財産」として相続税の課税対象となる点は注意しましょう。

(相続又は遺贈により取得したものとみなす場合)

第三条 次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該各号に掲げる者が、当該各号に掲げる財産を相続又は遺贈により取得したものとみなす。この場合において、その者が相続人(相続を放棄した者及び相続権を失つた者を含まない。第十五条、第十六条、第十九条の二第一項、第十九条の三第一項、第十九条の四第一項及び第六十三条の場合並びに「第十五条第二項に規定する相続人の数」という場合を除き、以下同じ。)であるときは当該財産を相続により取得したものとみなし、その者が相続人以外の者であるときは当該財産を遺贈により取得したものとみなす。

一 被相続人の死亡により相続人その他の者が生命保険契約(保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第三項(定義)に規定する生命保険会社と締結した保険契約(これに類する共済に係る契約を含む。以下同じ。)その他の政令で定める契約をいう。以下同じ。)の保険金(共済金を含む。以下同じ。)又は損害保険契約(同条第四項に規定する損害保険会社と締結した保険契約その他の政令で定める契約をいう。以下同じ。)の保険金(偶然な事故に基因する死亡に伴い支払われるものに限る。)を取得した場合においては、当該保険金受取人(共済金受取人を含む。以下同じ。)について、当該保険金(次号に掲げる給与及び第五号又は第六号に掲げる権利に該当するものを除く。)のうち被相続人が負担した保険料(共済掛金を含む。以下同じ。)の金額の当該契約に係る保険料で被相続人の死亡の時までに払い込まれたものの全額に対する割合に相当する部分

引用元:e-GOV法令検索 / 相続税法第3条第1項第1号

孫が代襲相続や養子縁組によって相続人になっていれば、「法定相続人の数×500万円」の相続税控除が認められますが、相続人となっていない場合には控除を受けられません。

生命保険金の受取人に孫を指定する際は、孫が相続税を負担する可能性も考慮しておく必要があります。

孫に遺産相続などをするメリット2選

孫に遺産相続などをするメリット2選

孫に対して遺産相続などを行うメリットは、主に次の2つです。

  • 相続税を少なくできる可能性がある
  • 祖父母の希望どおりの財産が渡せる

これらのメリットを享受するためには、適切な方法で孫に財産を渡す必要があります。

それぞれのメリットについて、以下で詳しく確認していきましょう。

相続税を少なくできる可能性がある

孫に財産を渡すと、相続税の総額を軽減できる可能性があります。

通常であれば、相続財産は父母から子ども、子どもから孫へ継承されるため、孫に財産が引き継がれるまでに相続税が課税されるタイミングは2回です。

祖父母から孫へ直接財産を渡せば、相続税が発生するタイミングは1回のみとなり、課税される回数を1回分減少できます。

しかし、孫は原則として法定相続人にはならないため、相続税の基礎控除が適用されず、子どもへ相続するよりも税負担が大きくなってしまう場合があります。

相続税を抑えて孫に財産を渡したい場合には、暦年贈与や非課税制度の特例による財産の受け渡しを検討するようにしましょう。

なお、代襲相続や養子縁組によって相続人となっていれば、孫であっても相続税の基礎控除が適用できます。

祖父母の希望どおりの財産が渡せる

遺産相続などによって、祖父母の希望どおりの財産が孫に渡せるメリットもあります。

民法で決められた法定相続分に従って相続する場合、原則として孫は財産を受け取れません。

しかし、遺言書や生前贈与などの方法を用いることで、祖父母から孫に対して希望する額の財産を渡せます。

孫に財産を渡したい場合には、生前の対策や遺言書による意思表示が重要です。

もし手続きに不安があれば、弁護士や税理士・司法書士などの専門家へ相談し、孫に財産を残す手段についてアドバイスを求めましょう。

孫に遺産相続などをするデメリット3選

孫に遺産相続などをするデメリット3選

孫に遺産相続などを行う際は、いくつかのデメリットも考慮する必要があります。

  • ほかの相続人とのトラブルが発生する場合がある
  • 相続税額の2割加算が適用される可能性がある
  • 登録免許税・不動産取得税が高くなるケースがある

民法で定められた遺産相続の流れとは異なる方法で財産を渡すと、孫の立場が悪くなったり、税負担が重くなったりする可能性があります。

各デメリットについて、以下で具体的に見ていきましょう。

ほかの相続人とのトラブルが発生する場合がある

孫に遺産相続などを行うと、孫とほかの相続人の間でトラブルが発生してしまう可能性があります。

とくに、孫に対してのみ高額な財産を渡した場合、ほかの相続人が不公平感を抱くケースが多いです。

また、孫への直接的な贈与や相続が、ほかの相続人の権利を侵害していると感じられる場合、親族内での紛争に発展するリスクがあります。

法定相続人には遺留分も認められているため、すべての財産を孫へ渡すのは困難です。

トラブルを避けるためにも、孫だけを優先した財産分配とならないよう気をつけましょう。

相続税額の2割加算が適用される可能性がある

相続や遺贈によって孫に財産を渡した場合、相続税額の2割加算が適用される可能性があります。

相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含みます。)および配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算されます。

引用元:国税庁 / No.4157 相続税額の2割加算

相続税額の2割加算の対象になる人は、たとえば次のとおりです。

(1) 被相続人から相続または遺贈により財産を取得した人で、被相続人の配偶者、父母、子ではない人(例示:被相続人の兄弟姉妹や、おい、めいとして相続人となった人)

(2) 被相続人の養子として相続人となった人で、その被相続人の孫でもある人のうち、代襲相続人にはなっていない人

引用元:国税庁 / No.4157 相続税額の2割加算

遺言書によって孫に財産を遺贈した場合や、養子縁組によって孫が相続人となった場合、2割加算の対象となります。

孫に遺産を受け継がせる際には、税負担の増加する可能性を考慮しておく必要があります。

なお、代襲相続によって孫が相続人となった場合は、2割加算の対象にはなりません。

登録免許税・不動産取得税が高くなるケースがある

孫に不動産を贈与する場合、登録免許税や不動産取得税が高くなるケースがあります。

前提として、相続人が不動産を相続した場合、登録免許税の税率は0.4%です。

しかし、相続人以外に不動産を遺贈した場合には、登録免許税の税率は2%となり、相続人に相続する際の税率と比べて5倍になります。

また相続人であれば非課税となる不動産取得税も、相続人以外への特定遺贈では、原則として4%が課税されます。

相続人ではない孫に対して不動産を遺贈したい場合、高額な税金がかかってしまう可能性があるため注意しましょう。

孫に遺産相続などをさせる際の確認事項

孫に遺産相続などをさせる際の確認事項

孫に遺産相続などをさせる際には、いくつかの重要な確認事項があります。

  • 相続人の遺留分の確認
  • ほかの相続人の意向の確認
  • 贈与税の確認
  • 相続税の確認

まず、事前に相続人の遺留分を確認しましょう。

トラブルに発展するのを避けるために、孫に渡す財産は相続人の遺留分を侵害しない範囲にとどめておくのが推奨されます。

また、孫を養子にしたい場合も、ほかの相続人の意向を確認しておくと不要な揉め事を回避できます。

贈与税や相続税に関しては、財産を渡す前にシミュレーションし、どの程度の税金がかかるかを計算しておくといいでしょう。

なるべく税負担を軽減させたい場合は、税理士などの専門家に相談するのがおすすめです。

孫に遺産相続をさせたい場合は、専門家に相談して計画を立てよう

孫へ財産を渡す方法は、遺言書での指定のほか、暦年贈与や特例を使った贈与など多岐にわたります。

税負担や適用要件・手続きなどについても考慮する必要があるため、どの方法で財産を渡すべきか、選択するのが困難となるケースも多いでしょう。

孫への遺産相続を検討している場合は、まず弁護士や税理士・司法書士などの専門家へ相談するのがおすすめです。

専門家のサポートやアドバイスを得られれば、より具体的かつ個別の事情に合わせた計画を立てられるようになります。

将来のトラブルを回避するためにも、一度専門家への相談を検討してみてください。

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