スターリングハウストラストの被害に遭われた方へ(後編)

📖 まだ前編を読まれていない方へ

前編を読んでいただいた上で、後編を読んでいただければと思います(もちろん、後編だけ読んでも、内容が理解できるように記載はしております。)。

前編はこちら →

📋 この記事でわかること(後編)

  • 前編作成後の新たな動きとその評価
  • 取りうる選択肢①:紹介者等への損害賠償請求の詳細と現実的な回収可能性
  • 取りうる選択肢②:刑事責任追及のメリット・デメリット
  • 破産申立・マスコミへの連絡など、その他の方法への見解
  • 取りうる選択肢③:あきらめる・待つ場合の注意点(時効)
  • 弊所の対応方針と弁護士費用

1 前編の概要

前編では、スターリングハウストラストの実体がないと考えられることについて、その根拠とともに、説明させていただき、今後スターリングハウストラスト又はその運営からお金が戻ってくる可能性は極めて低いと考えられる旨説明させていただきました。

また、出資された方が自ら調査できる具体的な方法と、情報を鵜呑みにせず、信頼できる情報源から情報を取得し、その上で今後どのように動くのがよいかを検討することが重要であると説明させていただきました。


2 前編作成後の動きについての評価と必要な対応

前編の記事公開後の令和8年7月中旬頃、スターリングハウストラストより、キースプライスが作成したとされる文章がメールにて、スターリングハウストラストに出資された方に届いているようです。

後編の記事の主目的ではないため、詳細は省きますが、私がその内容を確認した印象としては、

⚠️

スターリングハウストラストのメール連絡が終了し、いよいよスターリングハウストラストに全くアクセスできなくなる状況が起きうること

⚠️

各地でスターリングハウストラストに関する責任追及をする動きが高まったことで、関係者の中で責任逃れや責任の押し付け合いが起きていること

を示すものであると認識しました。

📌 今すぐ行動をおすすめすること

スターリングハウストラストに出資された方にお伝えしたいこととしては、スターリングハウストラストの自己の会員ページをスクリーンショットしておくことをおすすめします。今後同サイトにアクセスできなくなる可能性も否定できないためです。


3 みなさんが今後取りうる選択肢

みなさんが今後取りうる選択肢は大きく分けると以下の3つかと思います。以下順に解説させていただきます。なおこの記事は公開記事という特性上、今後の回収という観点からして、支障が生じる部分はあえて記載を控えさせていただいております。ご了承ください。

紹介者等に紹介の責任追及(損害賠償請求)を行う

紹介者等の刑事責任を問う

あきらめるまたは戻ってくる可能性にかけてひたすら待つ


4 ①紹介者等に紹介の責任追及(損害賠償)を行う

前述の通り、スターリングハウストラスト又はその運営者から戻ってくる可能性は極めて低いと考えられることから、少しでもお金を取り戻したいということであれば、紹介者等に対し、責任追及(損害賠償請求)を行うのが現実的な唯一の方法ではないかと考えています。

(1)みなさんが出資した金銭が費消されている可能性が高いこと

まず選択肢として、実際にお金を預かっている金融機関に連絡して、預けているお金を返してほしい旨伝えるということが思いつくところではないかと思われます。

しかし、そもそも、みなさんが出資した金銭については、スターリングハウストラスト(紹介者含む。)の説明通りに海外の金融機関に送金されている可能性は極めて低く、(この点については、前編記事を参考に、自らでも調査できる限りで調査することをおすすめします。)、現状の私の認識では日本の三井住友銀行から別の海外の金融機関に送金されたが、その後費消されてしまっている可能性が高いと考えています(一定の調査を踏まえると、同様の結論にたどり着く方が多いかと思います。)。

そもそも、当初説明した通り、スターリングハウストラストについては実体がなく、実体がないのに実体があるとして、みなさんに出資させた事案です。

そのような事案において、みなさんが出資したお金をわざわざスターリングハウストラストとは別のところに保管しているという可能性がどこまであるでしょうか。

通常のポンジスキームでは、ポンジスキームの設計者が、集めた金銭を費消しつつ、一部出資者に配当等にまわしたり、エージェントに対し報酬として配分したりしています。

スターリングハウストラストもポンジスキームであった可能性は高く、仮に金銭の行方を追えたとしても、その金銭は既に費消されてしまっており、保管されていない可能性が高いかと思います。

🚨 お金がないところから支払ってもらうことはできないことから、保管されていることを前提に、保管されている金融機関からお金を返してもらうというのが現実的ではないことが理解いただけるかと思います。

(2)誰に責任追及を行うかについて

先ほどの話で、お気づきの方もいるかもしれませんが、少しでも出資した金銭を回収したいということを考えた場合、実際にお金を持っている人に対し、訴えを起こすということが重要です。

この観点から私としては、スターリングハウストラストの実質責任者を突き止めて、損害賠償請求をするより、直接の紹介者に対し、損害賠償請求をするほうが実際に金銭を回収できる可能性は高いのではないかと考えています。

この点については、弁護士によっても方針の違いが出てくるところですし、そもそも誰からも回収できる可能性は低いとして、あきらめてしまったほうがよいと判断することもありえるところです。

実際私としても、現時点で積極的に動くのであれば、紹介者を訴えるのがよいと考えていますが、動くこと自体を強くおすすめしているわけではないです。

ほとんどの方は、このまま何もせずに終わらせたくないという発想を持っている方も多いかと思います。そういった発想を持っている方に対し、私としてどういう手段が取れ、現実的に回収できる可能性があるかという点から説明させていただいているところです。

⚠️ 紹介者を訴えれば、出資したお金を回収できると安易に考えないようにしていただければと思います。

以下では実質経営者らではなく、直接の紹介者に責任追及をした方がよいと考えている理由を詳述させていただきます。

ア 実質経営者について

まずスターリングハウストラストの実質責任者が誰かという問題があります。証券取引等監視委員会のホームページに記載されている名前として、「伊藤良」「山田武穂」「栗原稔昌」の3名がいます。

📄 証券取引等監視委員会|GIL社に対する申立て(令和6年6月25日)

またこの3名以外で、逮捕されたと報道されている人物が複数人います。

これらの情報に加えて、現時点で容易に取得できる情報から確認できることとしては、GIL株式会社の代表者が伊藤良であったこと、SIVEX株式会社の代表者が松村寛であったことかと思います。

SIVEX株式会社の関与については、以下を参照。

📄 証券取引等監視委員会|SIVEX株式会社に関する情報(令和7年3月)

これら情報だけでは、そもそも現時点で誰がスターリングハウストラストの実質責任者で、誰がどこまでの情報を知っていたか(そもそもスターリングハウストラストに実体がないことを知っていたのは誰か)を明らかにすることは困難です。

その上、現在の報道ベースだと、詐欺罪で逮捕された、起訴されたという情報に接していないところからすると、名前があがっている人物も、スターリングハウストラストに実体がないことを知らなったと述べており、かつそれを覆すまでの証拠が存在していない可能性もあります。

これらのことから、実質責任者が誰で、どこまで知っていたかを現時点で法的に突き止めるのは困難ではないかと考えています。

他方で、実質責任者が誰かを明確に突き止めなくても、スターリングハウストラストの構造自体が、SP、DP、さらにその上の責任者(ただこの立場が誰なのかは不明。)と階層的な構造をしていることから、DP以上の人物であれば、スターリングハウストラストの実体がないことを知りえたのに、スターリングハウストラストの募集行為を続けたとして責任追及をする余地はあるかと思います(専門的にいえば、未必の故意や過失による共同不法行為等(民法719条)。ポンジスキームに関する裁判例で、このような責任を認める裁判例がありますが、公開記事で誰でもこの記事を読めることから、共有は控えさせていただきます。)。

そうすると、DP以上の人物や実質責任者と思われる人物を訴えて、損害賠償請求をするという発想も十分ありうるところです。

また、誰か1人に絞って裁判をする必要はないため、責任追及の観点からは、紹介者+DP以上の人物を訴えるということもありえるかと思います。

しかし、ここでハードルになってくるのが、冒頭にも記載した、どこまで、実際にお金を持っているかという点です。

DP以上の人物や実質責任者のほうが、スターリングハウストラストで稼いで、お金を持っているのではないかと思われるかもしれませんが、話はそう単純ではないです。

この部分の具体的な記載は控えさせていただきますが、日本の民事執行制度まで踏まえると、実際にお金を持っている必要があるところ、DP以上の人物からお金を回収するのは容易ではないと判断しています。

それゆえ、現時点ではDP以上の人物や実質経営者を一緒に訴えることをせず、紹介者のみを訴えることを中心として動いています。

イ 紹介者について

紹介者に責任追及する理由は、主として調査・説明義務違反です。

私が認識する限り、紹介者は、みなさんに対し、「信託だから安心だ」「銀行で安全に保管されている」「月1%の利息が得られる」「元本保証で預けた金銭が失われることがない」といった説明をしていたのではないかと思います。

そして、その紹介者のほとんどが報酬を得て、スターリングハウストラストを業として紹介し、手続を行っていました。またスターリングハウストラストについては、数年前からポンジスキームを疑われていたという事情があります。

これらの事情等を踏まえて、弊所では、紹介者に対する、調査・説明義務違反を理由とした、不法行為に基づく損害賠償請求を基本方針としています。

なお類似のケースで責任を認めた裁判例があることや現在こういったポンジスキーム等詐欺事案に関与した方の責任が裁判例上拡大傾向にあることから(なおこの点についての裁判例も共有を控えさせていただきます。)、このような方針を取っていますが、現時点で、スターリングハウストラストの紹介者の責任を明確に認めた裁判例までは確認できていないという状況です。

そして、私としては、紹介者のほうが、DP以上の人物より実際にお金を持っており、責任が認められれば支払いを受けられる可能性が高いと判断しています。

この点については、重要なポイントで、みなさんも気になるところかと思いますが、公開記事であり、誰でも読めるという点から記載を省略させていただきます。ご了承ください。

ウ 小括

損害賠償請求についての相手方についての弊所の考えをまとめると、

DP以上の人物や実質責任者に対し責任追及することはありうるが、「実際にお金を持っているか」という点から出資したお金を回収するハードルが高い

現時点の弊所の基本方針としては、紹介者に対し、調査・説明義務違反を理由として、損害賠償請求している。DP以上の人物よりは、実際にお金を持っており、回収可能性があると考えている。

という状況です。


5 ②紹介者等の刑事責任を問うことについて

まずDP以上の人物については既に逮捕され、その旨の報道もされていますが、その被疑事実は、無登録で海外金融商品への出資の勧誘という、金融商品取引法違反です。

詐欺罪(お金をだまし取った)という罪名で逮捕された事実や裁判を受けているという事実は確認できない状況です。

DP以上の人物すら、詐欺罪の刑事責任を追及できないとなると、各紹介者についても、詐欺ではなく、せいぜい金融商品取引法違反で逮捕され、処分される可能性があるという程度の状況です。

金融商品取引法違反で処分される場合、初犯だと、即実刑(刑務所に入ること)という可能性は高くなく、罰金や執行猶予付き判決が出る可能性が高いです。

※日本弁護士連合会作成の意見書5頁参照。今回の事例も含め、同様の事例について、法制度が不十分とする問題意識を有するものですので、一読いただくとよいかと思います。

📄 日本弁護士連合会|意見書(令和8年1月)

そうすると、紹介者等を刑事告訴までしても、せいぜい罰金や執行猶予判決がされるのみです。

加えて、こういった類型について、警察の対応が重いという問題があるかと思います。

警察に相談することは誰でもできることかと思いますので、実際に最寄りの警察署に相談してみてください。その結果、捜査する方向に進展せず終わったという方も多いのではないかと思います。

この点単に被害申告するのではなく、刑事告訴までして、捜査の進展の中で、示談を狙うということもありえます。

しかし、これはあくまでも紹介者が、刑事処分を受けることを嫌がって示談を求めてきた場合にのみ有効です。

紹介者は、複数の人に対し、スターリングハウストラストを紹介していたと考えられること、どこまで責任が認められるのかはっきりしていないことから、刑事で示談に応じるより、刑事責任を受けた上で、民事で争うという態度を取る可能性があります。

そうすると、示談狙いで刑事告訴するより、民事上の責任追及をするほうが直接的であるといえるかと思います。

⚠️ もちろん、①に加えて②を取ることもできるので、並行して進めることもできなくはないですが、被害申告するにとどまらず、刑事告訴までするのは相応の負担がかかりますし、そもそもこの事案で紹介者に刑事責任を負わせること自体にどの程度の意味があるのか疑問を持っているので、私としては積極的におすすめしていない状況です。


6 その他の方法について

③「あきらめるまたは戻ってくる可能性にかけてひたすら待つ」という選択肢の説明の前に、現在ネット上で確認できるその他の方法について、コメントさせていただきます。

(1)破産申立てについて

まず、スターリングハウストラストの実質責任者やお金の流れを明らかにすることを目的として、関係会社や実質責任者を破産させる(債権者破産申立)という方針も検討されているようです。

しかし、まず誰(どの会社)を破産の対象とする問題がある上、破産申立を進めるにあたっては相応の予納金(少なくとも100万円以上になるかと思われます。)を弁護士の費用と別に用意しないといけないという問題があります。

その上で、証券取引等監視委員会や警察の調査以上の事実を明らかにできるのか、さらに進んでそこからどこまで金銭を回収できるのか、債権者平等の原則という問題もあります。

こういった事案で真相を明らかにするために動くということ自体意味はあるかと思いますが、私としてはお金が絡む問題である以上、実際に少しでもお金が返ってくることこそ優先されるべきと考えています。

私の知見の限りでの意見ですが、破産申立を進めるよりも、個別に紹介者を訴える方がまだ各個人にお金が返ってくる可能性はあると考えています。この点から、破産申立ではなく、個別に動くことを推奨しているという状況です。

(2)マスコミへの連絡について

事情をまとめて連絡するという負担を気にしないのであれば、連絡して損はないかと思います。

ただし、マスコミが動くかどうかはなんともいえない上、マスコミに連絡して、その後どうしたいのか(被害者保護等のための法改正に動いてもらうのか、真相を解明してもらうために動くことを期待するのか)を考える必要があります。


7 ③あきらめるまたは戻ってくる可能性にかけてひたすら待つ

説明するまでもなく、何もしないということです。

この選択肢についてもみなさんの方針としては、十分検討に値するかと思います。

まず、私としては、スターリングハウストラストに実体がなく、待っていてお金が戻ってくる可能性は極めて低いと考えています。したがって、お金が戻ってくることを期待して待つことはおすすめできません。

他方で、今後も何もせず諦めるという選択肢は検討の余地があるかと思います。

①の方針の中で述べましたが、現時点で、スターリングハウストラストの紹介者の責任を明確に認める判決は確認できておらず、紹介者の責任がそもそも認められないという可能性もあります。

加えて、責任が認められたとしても、実際にお金を持っているかどうかは各紹介者の個別事情が絡むため、保証できない状況です。

そのことを理由に、回収できる可能性が低いとみなさんが判断して、弁護士費用や書類作成、確認等の手続の負担を嫌って、諦めることもありうるかと思います。したがって、③の選択肢も検討の余地があるかと思います。

特にもうこれ以上何もリスクを取りたくないという方にはおすすめの方法です。

⏰ 重要:時効に注意してください

なおとりあえず現時点で、何もしないという選択肢を取る場合、今後動こうとしても、不法行為に関する時効により、請求できなくなるおそれがあります。

民法724条

不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。

二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。

「損害及び加害者を知った時」や「不法行為の時」をいつと解するかという問題はありますが、そもそも時効が問題にならないように動くのであれば、私としては、遅くとも、証券取引等監視委員会の申立てが公表された令和6年6月25日の3年後である、令和9年6月25日までには、行動されることをおすすめします。

📄 証券取引等監視委員会|申立て公表(令和6年6月25日)

8 弊所の対応方針について

本記事は主として、スターリングハウストラストについての情報提供を目的としていますが、弊所の対応方針を確認の上、何か動かれたいという方がいれば、ご協力させていただきます。

こういった事案については、弁護士側も回収見込みが経たず、弁護士費用を払ったのに回収できないとして、スターリングハウストラストの被害者に二次被害を与えかねないので、弁護士側が依頼を断るというケースが散見します。

私も、たまたま知人がスターリングハウストラストの被害にあったということがなければ、わざわざ依頼を受けることのない類型です(弊所が普段取り扱っている事件もホームページでご確認いただければ幸いです。)。

他方で、リスクも承知の上で何か動きたいのに動けない、協力してくれる弁護士にたどり着かないという方もいらっしゃるかと思いますので、弊所としては、そういった方に情報提供や具体的な選択肢を提供の上で、協力させていただく次第です。

💼 弁護士費用(原則)

相談料

1時間 11,000円

着手金

330,000円

(裁判込み。強制執行手続は含まない。)

成功報酬

回収金額の11%(税込)

実費相当額預り金

50,000円

この費用で、スターリングハウストラストを紹介した人等を訴えて、少しでも回収できるように尽力させていただきます。

⚠️ ご相談前にご確認ください

なお基本方針として紹介者を訴えるという方針を取っていることから、既に弊所に依頼している方とご相談されたい方の紹介者が同じであった場合、既に弊所に依頼している方の利益のため、新規の相談をお断りしております。

相談の前に、誰が紹介者かを確認した上での相談対応になりますので、その旨ご了承ください。

🚨 また繰り返し述べていることから認識されているかもしれませんが、回収を保証することはできませんので、その旨ご認識いただければと思います。


9 さいごに

長文を読んでいただきありがとうございます。

私としては、スターリングハウストラストの被害に遭われた方に対し、この記事だけでなく、たくさんの情報を自ら集め、その真偽も踏まえて、自ら今後どうしたらいいのか判断していただきたいと思っています。

少しでもみなさんの参考になったのであれば幸いです。

個別にご相談されたい方へ

尾畠・山室法律事務所

相談対応は有料相談です。お電話またはお問い合わせフォームからご連絡ください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法律相談に代わるものではありません。具体的な状況については、必ず専門家にご相談ください。また、法令は改正される場合がありますので、最新情報をご確認ください。

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