紛争やトラブルが発生した場合に、内容証明を使って相手方に自分の要求や主張を伝えるケースがあります。
内容証明を送付する場合やそれを弁護士に依頼する際、どの程度の費用がかかるのか気になっている人は多いのではないでしょうか。
今回の記事では、内容証明を弁護士に依頼する際の費用や手順、メリットなどについて詳しく解説していきます。
また、内容証明を活用できる主なケースや、自分で内容証明送付を行う場合の手順についても紹介します。
この記事を読むと内容証明の費用感と効果的な活用方法を理解できるため、ぜひ参考にしてみてください。
弁護士に依頼して内容証明を送付する際の費用
弁護士に依頼して内容証明を送付する際の費用は、「内容証明のみを依頼する場合」と「その後の対応等も含めて依頼する場合」で異なります。
どこまでの業務を弁護士に依頼するかにもよりますが、定型的かつシンプルな内容であればおおむね3万円〜10万円を想定しておくといいでしょう。
- 内容証明自体にかかる費用
- 弁護士に内容証明のみを依頼する際にかかる費用
- 弁護士にその後の対応等も含めて依頼する際の費用
上記の項目別で、具体的な費用相場を解説していきます。
内容証明自体にかかる費用
そもそも内容証明の送付自体にかかる費用として、郵便局を利用した場合の料金は以下のとおりです。
・基本郵便料金:84円~140円
・内容証明料金:440円(2枚以上の場合、1枚ごとに260円加算) ・書留料金:435円 ・配達証明料金:320円 |
内容証明は必ず書留郵便物として送付しなければならないため、最低でも959円の郵便料金がかかります。
配達証明は必須ではありませんが、郵送した事実を客観的に証明するために利用するのが一般的です。
そのため、内容証明の郵便料金は、配達証明料の320円を加算した1,279円程度が相場となります。
なお、速達や配達日指定郵便・本人限定受取などのオプションを利用した場合、追加で所定の手数料がかかります。
また内容証明は、インターネットを通じた電子郵便でも送付可能です。
Wordファイルで作成した文書をインターネット上にアップロードすると、郵便局の機械で印刷・照合・封入・封かんが行われ、内容証明郵便として発送してもらえます。
電子内容証明(e内容証明)で送付した場合の費用は、以下のとおりです。
・基本郵便料金:84円~140円
・電子郵便料金:15円(2枚目以降は1枚5円) ・内容証明料金:382円(2枚以上の場合、1枚ごとに360円加算) ・謄本送付料金:304円 ・書留料金:435円 ・配達証明料金:320円 |
電子内容証明は最低1,220円かかり、配達証明の320円を加算した1,540円が相場となります。
電子郵便は窓口に行く手間や封筒の用意などが必要なく、100通までまとめて発送できるのがメリットです。
弁護士に内容証明のみを依頼する際にかかる費用
弁護士に内容証明のみを依頼する際にかかる費用は、複雑な内容でなければ3万円〜5万円程度が相場です。
自分の名義で内容証明を送付し、弁護士名は出さないケースを想定しています。
具体的な費用設定は弁護士事務所によってもさまざまですが、定型的な内容の文書作成であれば比較的低予算で依頼可能です。
弁護士資格のない素人が内容証明を作成した場合、内容が適切でなかったためにトラブルに発展するリスクがあります。
正当な内容証明を送付するなら、ある程度の費用はかかりますが弁護士に文書作成を依頼するのが確実といえるでしょう。
弁護士にその後の対応等も含めて依頼する際の費用
弁護士に内容証明送付後の対応は、送り先との交渉として依頼を受ける弁護士事務所がほとんどです。
その場合、最低でも10万円程度はかかると考えておきましょう。
具体的には、着手金と報酬金がかかる場合があります。具体的な内容によって費用は異なりますが、例えば多くの弁護士が現在でも報酬基準にしている日弁連の旧報酬基準では、請求金額が300万円以下の場合には着手金として請求金額の8%(ただし最低10万円)、成功報酬として得た利益の16%(ただし最低10万円)となっています。
そもそも内容証明とは?
内容証明とは一般書留郵便物の一種で、いつどのような内容が誰から誰あてに差し出されたかについて、郵便局が証明してくれる制度です。
具体的には、以下の内容を5年間保存して証明してもらえます。
- 差し出した日付
- 差出人の住所・氏名
- 宛先の住所・氏名
- 文書の内容
内容証明に配達証明オプションをつけると、相手方に配達された日時も記録されます。
相手方に対してなんらかの意思表示をする場合、配達証明付きの内容証明を利用するケースが多いです。
記載する内容を書き間違えてしまうと後々の交渉で不利な状況になる可能性があるため、慎重に作成する必要があります。
内容証明の2つの効力
内容証明には、次の2つの効力があります。
- 相手に伝えた内容を公的に証明できる
- 時効の完成が6カ月猶予される
内容証明は、相手方に支払いなどの行為を強制させるような効力はありません。
しかし、「内容証明を送った」という証明になるほか、債務者から返済がない場合に時効の完成が猶予されるといった効力が期待できます。
内容証明の効果をしっかりと理解し、有効に活用しましょう。
それぞれの効力について、以下で詳しく解説していきます。
相手に伝えた内容を公的に証明できる
相手方に伝えた内容を公的に証明できるのは、内容証明を送付する上で大きなメリットといえます。
債権を請求したいときは、いきなり裁判をはじめるのではなく、まずは相手方に連絡して催促するのが一般的です。
催促を行っても支払う意思が感じられない場合などに、期限までに支払いがなければ法的手続きに進まざるを得ない旨を書面に記載し、内容証明で送付します。
内容証明を送っても支払いがなかった場合、書面に記載したとおり、法的手続きを進めます。
請求や督促には手順があるため、法的手続きに入る前に、しっかりと必要な手順を踏むことが重要です。
適切なタイミングで内容証明を送付しておくと、裁判に至った場合でも、堂々と自身の言い分を主張できます。
時効の完成が6カ月猶予される
内容証明の送付によって期待できる効力として、送付すると時効の完成が6カ月を経過するまで猶予される点が挙げられます。
民法第150条で規定されている「催告による時効の完成猶予」の条文は、以下のとおりです。
(催告による時効の完成猶予)
第百五十条 催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。 2 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。 |
たとえば債権の消滅時効は基本的に支払い期限から5年間となっており、期間経過後に相手方から時効の主張をされてしまうと、その債権による請求ができなくなってしまいます。
時効期間が間近に迫っている場合には、内容証明を送付して6カ月間の猶予を得るという手段は有効でしょう。
猶予期間を得られれば、その期間中に相手方へ債権の請求や交渉を行えるようになります。
内容証明を送付しても支払われなかった場合にも、猶予期間中に法的手続きを進めれば時効の完成を防げます。
なお、時効の完成が猶予されるのは一度きりなので、複数回内容証明を送ったとしても、一度目以降は猶予されないので注意してください。
内容証明を行う主なケース5つ
内容証明を行う主な事例として、次の5つのケースが挙げられます。
- 【ケース1】損害賠償請求をする
- 【ケース2】解除や請求などの意思表示を対外的に示したいケース
- 【ケース3】家賃や代金などの未払金の督促をする
- 【ケース4】すでにもめている相手と文書でやりとりをする場合
- 【ケース5】時効完成が目前に迫っている
状況によっては内容証明の送付で話し合いがこじれてしまう可能性もあるため、利用する状況やタイミングは慎重に見極める必要があります。
内容証明を行う主なケースを、以下で具体的に確認していきましょう。
【ケース①】損害賠償請求をする
損害賠償請求を行う際は、内容証明を送付するのが一般的です。
たとえば、交通事故・著作権侵害・配偶者の不貞行為・名誉棄損などの被害に遭い、加害者に対して損害賠償を請求するケースが挙げられます。
通常の手紙で催促しても、相手方に無視されたり、「届いていない」「受け取っていない」などといわれたりする可能性もあるでしょう。
このような場合に内容証明を利用すると、送付した事実は郵便局で記録されるため、相手方も真剣に対応をはじめる可能性があります。
内容証明の書面には、損害の原因や具体的な損害額、支払い期限を明記しておくことが重要です。
該当する法律の条文などを引用しながら要求を具体的に記載すると、説得力がより高まるでしょう。
【ケース②】契約解除の意思表示を対外的に示したいケース
契約解除の意思表示を対外的に示したいケースでも、内容証明を活用できます。
たとえば、契約違反があった場合の契約解除や、クーリングオフ制度を利用するために一定期間内に契約解除の意思を伝えるといったケースが挙げられます。
クーリングオフとは、契約申し込みや契約締結を行った場合でも、一定期間内であれば申し込みを撤回したり契約を解除したりできる制度です。
このように契約解除の意向を相手方に伝えたい場合は、記録の残る内容証明を用いて意思表示を行うのが有効です。
意思表示をした証拠が残るため、相手方の不当な主張が避けられ、裁判に発展した場合の証拠などになるでしょう。
【ケース③】家賃や代金などの未払金の督促をする
家賃や商品代金などの未払いが発生した際に、内容証明を用いて督促を行う場合があります。
たとえば、あらかじめ決めていた支払日に家賃が支払われなかったケースを想定してみましょう。
このようなケースでは、まず契約者に電話やメール・普通郵便などで催促する方法があります。
催促を行っても相手方が支払いに応じない場合、期限までに支払いに応じなければ契約解除、または法的措置をとる旨を内容証明で送付するのが有効です。
内容証明を送ると相手方に心理的な圧力を与えられるため、未払い金の回収をスムーズに進められる可能性があります。
家賃や商品代金は回収が長引くほど大きな損失につながってしまうため、内容証明を有効に活用して早い段階での解決を目指しましょう。
【ケース④】すでにもめている相手と文書でやりとりをする場合
トラブルが発生し、相手方と口頭でのやりとりが困難になった場合は、内容証明を用いて文書でやりとりを行うのが有効です。
たとえば、労働条件に関する問題や近隣トラブルが起こり、相手方からなんらかの請求や警告を受けた場合に、内容証明で反論するケースがあります。
反論する際に内容証明を利用すると、自分の主張や要求を明確に伝えられます。
内容証明は、相手方に「適切な対応をしなければならない」と思わせる効果もあるため、トラブル解決につながる可能性が高まるでしょう。
内容証明で送付した書面は郵便局で記録されるので、相手方へ主張・要求を行った客観的な証明となり、裁判や調停に発展した場合の証拠としても役立ちます。
【ケース⑤】時効完成が目前に迫っている
債権の時効が間近に迫っている場合、内容証明を送付すると6カ月間の時効完成猶予を得られます。
たとえば、損害賠償請求権の時効が近づいた場合などに内容証明を利用するのが一般的です。
内容証明の送付により、相手方に対して請求権の行使を明確に示した上で、時効が完成する前の適切な対応が可能となります。
なお、内容証明の送付による時効の猶予は、あくまでも一時的な猶予に過ぎません。
内容証明送付後は早い段階で相手方との交渉を進め、法的手続きをとる必要性を判断しましょう。
自分で内容証明送付などを行う際の具体的な手順
自分で内容証明の作成・送付などを行う際は、次のような手順で手続きを進めます。
- 【手順1】内容証明で送付する文書の作成
- 【手順2】内容証明の郵送
- 【手順3−1】相手方との交渉
- 【手順3−2】相手方が受取を拒否した場合の対応
内容証明は法律的に意味のある文面にする必要があり、書き方も細かく決められています。
自分で作成する場合は、間違いのないよう慎重に進めましょう。
【手順1】内容証明で送付する文書の作成
内容証明の送付において、最初に行うのは相手方へ送る文書の作成です。
縦書きと横書きどちらでも問題ありませんが、それぞれに文字数・行数の制限が定められています。
- 縦書きの場合:1行26文字以内で20行以内、あるいは1行13文字以内で40行以内
- 横書きの場合:1行20文字以内で40行以内
枚数の制限はないため、1枚で収まらない場合には複数枚にわけて記載します。
文字数制限には、カッコや句読点などの記号も含まれるため注意しましょう。
なお、電子内容証明を利用する場合、文字数に関する制限はありません。
内容証明に記載する主な項目は、以下のとおりです。
- 文書の表題
- 本文(通知・要求内容)
- 年月日
- 受取人の住所と氏名
- 差出人の住所と氏名
受取人や差出人が法人である場合には、住所・社名・代表取締役名を記載しましょう。
【手順2】内容証明の郵送
文書が完成したら、内容証明の郵送を行います。
郵送用の文書のほかに、郵便局の保管用と自分の控えが必要なため、同じ内容の文書を3部用意して郵便局の窓口に持参しましょう。
封筒のサイズに指定はありませんが、郵送用・郵便局保管用・控え用のサイズは揃えておく必要があります。
なお、内容証明郵便の発送はすべての郵便局で扱っているわけではありません。
集配郵便局および日本郵便が指定した郵便局でないと受け付けてもらえないため、事前に問い合わせて確認しておくとスムーズです。
また、内容証明郵便には図面・請求書・契約書などの添付書類は同封できないので、郵送したい場合には別途普通郵便などを利用するようにしてください。
【手順3−1】相手方との交渉
内容証明を郵送したら、相手方との交渉をはじめましょう。
内容証明を送付しただけでは問題の抜本的な解決にならないため、その後の交渉が重要です。
交渉の際には、感情的にならず冷静な態度で臨む必要があります。
事実や法的根拠にもとづいた主張を行うことで、相手方を納得させられる可能性が高まるでしょう。
相手方からの返答や反論に対しては、柔軟に対応して適切な妥協点を見つけ、双方が納得できる解決策を目指すのが理想です。
また、交渉成立後は合意した内容を文書にまとめ、公正証書を作成しておくのをおすすめします。
公正証書とは、法務大臣に任命された公証人が作成する、書類の内容を証明するための公文書です。
公正証書を作成しておくと、交渉内容を証明する上で非常に証拠能力の高い書類となります。
【手順3−2】相手方が受取りを拒否した場合の対応
内容証明を送付しても、相手方が受取りを拒否してくる可能性があります。
郵便物を受け取らないという選択は、トラブルを回避する上で相手方がとれる対応の一つです。
受け取らなければ書面の内容を確認できないため、一般的に受取拒否されるケースは多くありません。
しかし、トラブルがあった相手や、話し合いでもめている相手から内容証明が届くと、「受け取ると不利になるかもしれない」と予測できます。
このようなケースでは、受取拒否される可能性が高くなるでしょう。
相手方になんらかの行動を要求しているにもかかわらず受取拒否された場合は、以下の対処法を検討してみてください。
- 弁護士名で新しい内容証明を送付する
- 弁護士に相談し、訴訟提起を検討する
同じ方法で複数回内容証明を送っても無駄になる可能性があるため、なんらかの変更を加えるのが有効です。
受取拒否が続く場合は、法的手続きを進めるかどうかも検討しなければなりません。
適切に対処するために、専門家である弁護士に相談しアドバイスを受けるのがおすすめです。
内容証明を行う際に注意すべき4つの注意点
内容証明を行う際、注意すべきポイントは次の4つです。
- 相手方との関係が悪化する可能性がある
- 内容によっては罪に問われる危険性がある
- 有利な証拠を相手に与える場合もある
内容証明を送付するリスクについても把握しておくと、より効果的なタイミングで活用できるようになります。
4つの注意点について、以下で具体的に確認していきましょう。
【注意点①】相手方との関係が悪化する可能性がある
内容証明の送付によって、相手方との関係が悪化する可能性も考慮しておく必要があります。
内容証明は、良くも悪くも相手方に対して強く訴求する郵送方法です。
いきなり内容証明を送るのではなく、まずは相手方との話し合いを試みましょう。
とくに、長期的な付き合いや取引がある相手に内容証明を送付すると、その後良好な関係を続けるのは難しくなるケースが多いです。
内容証明はあくまでも意向を伝えるための手段であって、送付すれば状況が改善する万能の手段では有りません。
内容証明の送付で関係がこじれるリスクを避けるためにも、意思表示を行う方法は慎重に検討するようにしてください。
【注意点②】内容によっては罪に問われる危険性がある
内容証明に記載した内容によっては、差出人が脅迫罪や恐喝罪などに問われる危険性もあります。
とくに、弁護士に文書作成を依頼せず、自分で作成する場合には注意が必要です。
内容証明でよく使われる表現として、「法的手段をとる」「訴える」などがありますが、これらの内容は権利の行使として正当といえるので基本的に罪にはなりません。
しかし、「従わなければケガをさせる」「SNSやネットで公表する」といった脅し文句を使ってしまうと、罪にあたる可能性があります。
刑法で定められている脅迫罪(第222条)と恐喝罪(第249条)の条文は、以下のとおりです。
(脅迫)
第二百二十二条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。 2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。 (恐喝) 第二百四十九条 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。 2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。 |
脅迫罪にあたる要件は、生命・身体・自由・名誉・財産に対して害を加えると告知することです。
また上記のような脅し文句を使って財産の明け渡しを要求すると、恐喝罪にあたる可能性があります。
内容証明では相手方に対する要求や主張を明確に記載する必要がありますが、不適切な表現や事実と異なる内容を含まないよう気を付けましょう。
【注意点③】有利な証拠を相手に与える場合もある
内容証明の送付によって、有利な証拠を相手に与えてしまう場合もあります。
たとえば、相手方がまだ把握していなかった事実や証拠を記載し、その情報を利用して対策をとられてしまうケースなどが挙げられます。
内容証明では必要以上の情報を明かさず、要点のみを記載するようにしましょう。
記載すべき情報と記載しない方がいい情報の判断が難しければ、弁護士に相談してみるのをおすすめします。
弁護士に文書作成を依頼すると、必要な情報のみを適切な表現で記載してくれるため、差出人にとって不利な状況になるリスクを防げるでしょう。
【注意点④】一度出したら撤回ができない可能性がある
内容証明は、一度送付した文書の内容の撤回はできない可能性が高いです。
そのため、文書を作成する際は事実関係や主張を十分に検討し、間違いのないよう細心の注意を払いましょう。
もし誤った情報を記載してしまったり、書き間違いに気づかずに送付してしまったりすると、新たなトラブルが発生する可能性もありますので、不安がある場合には、内容証明以外の方法を検討するか、弁護士に相談して精査してもらうのがおすすめです。
弁護士に内容証明などを依頼する際の3STEP
弁護士に内容証明等の対応を依頼する際の手順は、以下のとおりです。
- 【STEP1】弁護士への相談
- 【STEP2】内容証明の作成・送付を依頼
- 【STEP3】相手の出方に対応した手続き
注意点として、内容証明を送付するだけでは、問題が解決しない可能性もあります。
弁護士にどこまでの対応を任せたいかにもよりますが、送った後の交渉も視野に入れた上で相談するようにしましょう。
【STEP1】弁護士への相談
まずは、依頼する弁護士を決めて法律相談を行います。
弁護士によって得意とするジャンルが異なるため、相談したい内容から経験や専門知識が豊富な弁護士を選んで相談しましょう。
的確なアドバイスを受けるには、問題の概要や自分の主張・要望を明確に伝える必要があります。
また内容証明の送付には適切なタイミングがあるので、送るべきかどうか、ほかの解決方法があるかも含めて相談するのがおすすめです。
相談した結果、弁護士によるサポートが必要と判断された場合は、料金や期間など具体的な契約内容を確認しておきましょう。
弁護士費用は、一律での料金設定や時間単位の料金制などさまざまな形態があり、事務所によって異なります。
また、解決までの期間やどのような流れで対応してもらえるかも事前に確認しておくと、安心して任せられるでしょう。
【STEP2】内容証明の作成・送付を依頼
相談によって弁護士への依頼が決まったら、内容証明の作成・送付を依頼します。
基本的にすべて弁護士に任せられるため、依頼者自身が行う作業はほとんどありません。
しかし、説得力のある文書を作成するためには、具体的な事実を明示しながら効果的な表現や用語を使用する必要があります。
自分の主張や要求事項はすべて弁護士に伝え、適切な文書が作成されるように連携しながら進めていきましょう。
また、内容証明の送付手続きも弁護士が代行してくれるため、依頼者自身が郵便局に行って手続きを行う必要はありません。
【STEP3】相手の出方に対応した手続き
内容証明が送付された後、相手方の反応や対応によっては、さらなる手続きが必要です。
すぐに内容証明の要求に応じてくれる可能性もあれば、まったく反応を示さなかったり反論してきたりする可能性も考えられます。
要求に応じてくれる場合には、相手方との交渉は弁護士に代行を依頼し、合意した内容で示談書を作成してもらいましょう。
相手方から反論や提案があった場合は、引き続き弁護士と連携し、適切な対応策を検討する必要があります。
もし内容証明にまったく応じてもらえない場合には、裁判手続きに移行する可能性もあります。
弁護士は法律の専門家であるため、どのような状況においても、問題解決に向けたもっとも効果的な手段を提案してくれるでしょう。
弁護士に内容証明を依頼するメリット5選
弁護士に内容証明を依頼するメリットは、次のとおりです。
- 心理的に強いプレッシャーをかけられる
- 内容証明も含めた手続きを一括して任せられる
- 自分の要望を正確に相手に伝えられる
- 法律上必要な手続きを適正に行える
- その後の紛争を見越した対応を相談できる
自分で作成・送付するよりも費用がかかるデメリットはありますが、上記のように多くのメリットもあります。
各メリットの詳細を確認し、まずは弁護士への相談から検討してみてください。
【メリット①】心理的に強いプレッシャーをかけられる
弁護士に内容証明を依頼し、弁護士名を内容証明にいれてもらった場合、相手方に対してより強い心理的なプレッシャーをかけられます。
返済可能な資金があるにもかかわらず督促に応じない人の多くは、「支払わなくてもなんとかなるだろう」と楽観的に考えているケースが多いです。
そのような場合に、差出人の名前のみが記載されている内容証明を送付しても、支払いを促す効果を得られない可能性があります。
一方、弁護士が作成した内容証明は、法的な根拠が明確であり、専門家による検討が行われているという証明にもつながります。
そのため、法律事務所名や弁護士名が記載されている内容証明を送ることで、相手方に「真剣に対応しなければならない」と思わせられるのです。
弁護士が関与していると、法的なトラブルを避けたいという心理も働くため、債権回収を実現しやすくなるでしょう。
【メリット②】内容証明も含めた手続きを一括して任せられる
弁護士に依頼すると、内容証明の作成・送付からその後の手続きまで一連の対応を任せられます。
相手方から内容証明について反論などの連絡があった際に、債権者自身で対応するのは精神的負担が大きくなりやすいです。
相手方との連絡や交渉を弁護士に任せられれば、負担が大きく軽減され、時間や労力を割かずに済むメリットがあります。
また、弁護士は交渉のプロであるため、問題解決にあたって債権者に有利な状況を作りやすいといえるでしょう。
「面倒な手続きや対応は避けたい」「スムーズかつ正確に手続きを進めたい」と思ったら、弁護士に相談・依頼するのが確実です。
【メリット③】自分の要望を正確に相手に伝えられる
弁護士に依頼すると、自分の主張や要望を正確に相手方へ伝えられます。
はじめて内容証明を作成する場合は、自分の要求を言語化して正しい表現で記載するのは難しいでしょう。
しかし、専門知識のある弁護士なら、誤解を招くことなく、適切な表現で相手方に意図を伝えられます。
そのためには、事前の打ち合わせで担当弁護士にしっかりと主張を伝えておくことが重要です。
「慰謝料を請求したい」「延滞金も支払ってほしい」などの要望を伝えられれば、あとは弁護士が適切な文書を作成してくれます。
内容証明の作成のみを依頼するといった選択も可能なため、文書作成に不安がある人は、まず一度相談してみるのがおすすめです。
【メリット④】法律上必要な手続きを適正に行える
弁護士は法律の専門家であるため、法律上必要な手続きを適正に行えます。
内容証明は書き方が細かく決まっており、必要な情報が記載されていなければ、効力を発揮できません。
法律の知識がない人が、記入漏れなく正確な書面を作成するのは難しいケースが多いです。
重要な事項が抜けていたり、誤った内容証明を送ってしまったりすると、後の交渉で不利な状況になる可能性があります。
弁護士であれば法的な観点から適切な書面を作成できるため、問題が発生するリスクを回避できるでしょう。
また、弁護士は相手方が法律上の手続きを遵守しているかどうかもチェックできる利点があります。
もし相手方が適切な手続きを踏まずに差出人に不利益をもたらすような行為を行った場合、その事実を指摘し、差出人を守ってくれるでしょう。
【メリット⑤】その後の紛争を見越した対応を相談できる
弁護士に依頼すると、内容証明送付後の相手方の対応や、その後の紛争についても相談可能です。
内容証明を送付した後、相手方から反論を受ける場合があります。
そのような場合でも弁護士に依頼していれば、交渉を代行してくれる上、トラブルに対する最適な対応策や戦略を提案してくれるでしょう。
また、過去の類似案件の経験や専門知識を持っているため、紛争が裁判に発展した場合でも適切に手続きを進められます。
どのような状況においても一括してサポートしてもらえるのは、弁護士に依頼する上で大きなメリットです。
費用はかかるが弁護士に内容証明依頼をするメリットは大きい
この記事では、弁護士に内容証明を依頼する際の費用や手順、メリットなどを詳しく解説しました。
弁護士に依頼すると、自分で作成して送付するより費用はかかりますが、その後の対応も含めて一任できるため、負担を大幅に軽減できます。
また、相手方に弁護士が対応しているという心理的なプレッシャーをかけることで、スムーズに問題解決できる可能性が高くなります。
経験豊富な弁護士に依頼できれば、万が一裁判に発展した場合でも、安心して対応を任せられるでしょう。
内容証明の作成や手順、その後の交渉で悩んだら、早めに弁護士へ相談するのがおすすめです。