遺産分割調停の流れ・期間・費用|弁護士なしで進められる?福岡の弁護士が解説

兄弟で何度話し合っても遺産の分け方が決まらず、連絡を取るのさえ気が重くなってきた。そんな状況で「次は家庭裁判所なのか」と調べ始めた方もいるでしょう。

遺産分割調停は、裁判官と調停委員が間に入り、相続人同士の合意を目指す手続きです。法廷で白黒をつける裁判とは違い、あくまで話し合いの場なので、必要以上に身構えなくても問題ありません。

本記事では、以下の内容を福岡で相続案件を扱う弁護士の視点から解説します。

  • 遺産分割調停の仕組みと、協議・審判との違い
  • 申立ての準備と必要書類
  • 調停当日から成立・不成立までの流れ
  • 期間の目安と長引く原因
  • 費用の全体像と、弁護士なしで進められるかの判断基準
  • 福岡で申し立てる場合の裁判所

読み終えるころには、自分で進めるか弁護士に任せるかを決める材料がそろっているはずです。

目次

遺産分割調停とは?協議・審判との違い

遺産分割調停とは、家庭裁判所で相続人全員が遺産の分け方を話し合い、合意を目指す手続きです。当事者だけの協議と違い、中立の立場の調停委員が双方の言い分を聞き取り、解決案を示しながら進めます。

協議・調停・審判の3段階で進む

協議・調停・審判の3段階で進むのが、遺産分割の一般的な流れです。まずは相続人同士で話し合う遺産分割協議があり、まとまらなければ家庭裁判所の調停へ移ります。調停でも合意できない場合は、裁判官が分け方を決める審判に進みます。

なお、遺産分割は離婚と違って「調停を先に経なければならない」とは法律で定められていません。最初から審判を申し立てる方法もありますが、実務では裁判所の判断で調停に回される(付調停)運用が一般的です。

協議の段階で押さえておきたい進め方や、遺産分割協議書の作り方は以下の記事で解説しています。

調停委員会が間に入り、相手とは別室で話す

調停委員会が間に入る点が、協議との大きな違いです。調停委員会は裁判官1名と調停委員2名で構成され、調停委員には弁護士や不動産鑑定士などの専門家、社会経験の豊富な民間の方が選ばれています。

調停の場では、申立人と相手方が交互に調停室へ呼ばれ、調停委員に自分の考えを伝える仕組みです。相手と同じテーブルで言い争う場面は基本的にありません。顔を合わせたくない事情があれば、申立ての段階で書面に書いておくと、呼び出しの時間をずらすなどの配慮を受けられます。

協議・調停・審判の違いを比較

3つの手続きの違いは以下のとおりです。

項目 遺産分割協議 遺産分割調停 遺産分割審判
話し合いの形 相続人同士で直接話す 調停委員を介して話す 話し合いではなく裁判官が判断
結論の決め方 相続人全員の合意 相続人全員の合意 裁判官による審判
結果を残す書面 遺産分割協議書 調停調書(確定した審判と同じ効力) 審判書(確定すれば強制執行が可能)
期間の目安 相続人の状況しだい 遺産分割事件全体で平均約12か月 争点や鑑定の有無しだい
主な費用 書類の取得費程度 収入印紙1,200円+郵便切手+書類取得費 調停と同程度+鑑定費用がかかる場合あり

協議には期限も形式もない反面、1人でも反対すれば前に進みません。調停は合意が前提である点で協議と同じですが、合意内容が裁判所の書面として残り、強制力が生まれる点で大きく異なります。

調停に向かないケースもある

調停に向かないケースとして、遺産分割の前提そのものに争いがある場面が挙げられます。例えば「兄がもってきた遺言書は父の筆跡ではない」「母名義の預金は、実は自分が積み立てたお金だ」といった主張が対立している場合です。

遺言の有効性や、ある財産が遺産に含まれるかどうかは、最終的には地方裁判所の訴訟で決着をつける必要があります。調停の場で話し合っても合意に至らなければ、先に訴訟で解決するよう求められ、調停の取り下げを勧められる場合もあります。

申立ての準備:誰が・どこに・何を出すか

申立ての準備は、「誰が申し立てるか」「どこの裁判所に出すか」「どの書類をそろえるか」の3点を押さえておけば迷いません。

申立人と相手方を確認する

申立人になれるのは、共同相続人、包括受遺者、相続分の譲受人です。包括受遺者とは、遺言で「財産の3分の1を与える」のように割合で財産を譲り受けた人を指します。調停は相続人全員が当事者でなければ成立しないため、申立人以外の相続人は全員を相手方にします。

例えば父が亡くなり、母・長男・長女・次男の4人が相続人で、長男と次男が対立している場面を考えてみましょう。長女が中立の立場であっても、長男が申し立てるなら母・長女・次男の3人を相手方として記載します。

相手方に含めたからといって、対立関係になるわけではありません。申立書が届く前に「形式上、全員を相手方にする必要がある」と連絡しておくと、関係がこじれずに済みます。

申し立てる家庭裁判所(管轄)

申し立てる家庭裁判所は、相手方のうち1人の住所地を管轄する家庭裁判所か、当事者全員が合意で定めた家庭裁判所です。亡くなった方の最後の住所地ではない点に気をつけてください。

例えば申立人が福岡市、相手方の兄が久留米市、姉が東京都に住んでいるなら、福岡家庭裁判所久留米支部か東京家庭裁判所のどちらかを選べます。期日は何度も続くため、申立人が通いやすい裁判所を選ぶと移動の負担を抑えられます。

必要書類チェックリスト

必要書類は、申立書類・戸籍類・遺産に関する資料の3種類に分かれます。主なものは以下のとおりです。

区分 書類 入手先・ポイント
申立書類 遺産分割調停申立書(相手方の人数分の写しも用意) 裁判所ウェブサイトから書式を入手
申立書類 当事者目録・遺産目録 申立書とあわせて作成
申立書類 事情説明書・進行に関する照会回答書 協議の経緯や希望、相手方との関係を記入
戸籍類 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本 本籍地の役場。自分の直系の戸籍は最寄りの役場でまとめて請求可能
戸籍類 相続人全員の戸籍謄本・住民票または戸籍附票 各相続人の本籍地・住所地の役場
遺産資料 不動産の登記事項証明書・固定資産評価証明書 法務局・市区町村役場
遺産資料 預貯金通帳の写しまたは残高証明書、証券口座の資料 金融機関・証券会社
その他 遺言書の写し、協議の経過がわかるメールや手紙 手元の資料

裁判所によって追加の提出を求められる場合があるため、申立て前に管轄の家庭裁判所へ確認しておくと二度手間を防げます。

申立てにかかる実費

申立てにかかる実費は、収入印紙と連絡用の郵便切手、書類の取得費用です。収入印紙は被相続人1人につき1,200円で、父と母の遺産をまとめて分ける場合は2,400円になります。連絡用の郵便切手は裁判所ごとに金額と内訳が異なるため、申し立てる裁判所のウェブサイトか窓口で確認してください。

戸籍謄本は1通450円、除籍謄本と改製原戸籍謄本は1通750円が基本の手数料です。登記事項証明書や固定資産評価証明書の手数料も加えると、総額で1〜2万円前後を見込んでおくと安心です。

遺産分割調停の流れを5ステップで解説

遺産分割調停の流れは、申立てから終了まで大きく5つのステップに分かれます。全体像を先に押さえておけば、今どの段階にいるのかを見失いません。

【図:申立て → 第1回期日 → 2回目以降の期日 → 成立/不成立(審判へ移行)のフローチャート】

STEP1:申立てから第1回期日の通知まで

申立てから第1回期日の通知までは、書類の審査と日程調整の期間です。書類に不備がなければ受理され、裁判所が第1回期日を決めます。相手方には申立書の写しと呼出状が届き、申立人にも期日の通知が送られます。

第1回期日は、申立てから1〜2か月後に設定されるのが目安です。待つ間に、遺産の資料や自分の主張の整理を進めておきましょう。

STEP2:第1回期日の当日

第1回期日の当日は、指定された時刻までに家庭裁判所の受付で到着を伝え、待合室で呼ばれるのを待ちます。申立人と相手方の待合室は別々に用意されています。手続きの説明を双方同席で受ける運用の裁判所もあるため、同席を避けたい場合は事前に伝えてください。

続いて申立人と相手方が20〜30分ずつ交互に呼ばれ、調停委員に事情や希望を話します。1回の期日はおおむね2〜3時間かかるので、仕事は半日単位で休みを取っておくと安心です。当日は以下のものを持参してください。

  • 呼出状
  • 本人確認書類と印鑑
  • 申立書や提出書類の控え
  • 遺産に関する資料一式とメモ帳

服装に決まりはなく、普段着で問題ありません。調停委員は服装で印象を判断するわけではないため、落ち着いて話せる格好を選べば十分です。

STEP3:2回目以降は争点を順番に整理していく

2回目以降の期日は、次回の日程を期日ごとに調整しながら、1〜3か月おきに開かれます。多くの家庭裁判所では、争点を順番に確定させていく「段階的進行モデル」に沿って話し合いが進みます。段階的進行モデルの順番は以下のとおりです。

  1. 相続人の範囲を確定する
  2. 遺産の範囲を確定する
  3. 遺産を評価する
  4. 特別受益・寄与分を検討する
  5. 各相続人の具体的な取得額(具体的相続分)を算出する
  6. 分割方法を決める

特別受益とは、生前に特定の相続人だけが受けた住宅購入資金の援助や多額の学費を指します。寄与分は、家業を無償で手伝ったり長期間介護を担ったりして遺産の維持・増加に貢献した相続人の取り分を増やす制度です。

順番には意味があります。例えば実家の土地をいくらと評価するか決まらないまま「誰が実家を取るか」を話し合っても、代償金の額が定まらず結論が出ません。一度確定した段階は原則として後戻りしないため、遺産の範囲を合意する前に、漏れている預金や保険がないかを確認しておく必要があります。

進行の順番を知っているだけで、次回の期日に何を準備すればよいかが明確になり、調停委員への説明にも無駄がなくなります。最後の分割方法には、現物分割・代償分割・換価分割・共有分割の4つがあり、それぞれの特徴は以下の記事で解説しています。

STEP4:合意できれば調停成立

合意できれば調停成立となり、裁判所が合意内容を記載した調停調書を作成します。調停調書には確定した審判と同じ効力があります。代償金を支払う約束をした相続人が期限までに払わない場合、調停調書をもとに給与や預金を差し押さえる強制執行も可能です。

成立後は、調停調書の謄本を使って不動産の相続登記や預貯金の解約を進めます。相続人全員の実印や印鑑証明書を集め直さなくてよい点は、協議にはない利点です。

2024年4月から相続登記は義務化されており、遺産分割が成立した日から3年以内に登記しなければ10万円以下の過料の対象になります。調停が終わった安心感で後回しにせず、早めに手続きを済ませてください。

STEP5:合意できなければ審判へ移行

合意できなければ調停は不成立となり、自動的に審判手続きへ移行します。改めて審判を申し立てる必要はありません。審判では、調停で出された資料や主張をふまえ、裁判官が法律に従って分け方を決めます。

法定相続分を基準にした結論になるため、調停で相手が示していた譲歩案より不利な内容になる場合もあります。調停案を断るかどうかは、審判になった場合の見通しと比べて判断するのが賢明です。

申立人は、相手方の同意がなくても調停を取り下げられます。一方、相手方が正当な理由なく欠席を続けると、5万円以下の過料の対象になります。欠席が続いて話し合いが見込めない場合、裁判所は調停を不成立として審判に移行させます。

調停の流れを把握したうえで、書類の準備や主張の整理に不安がある方は、当事務所の法律相談をご利用ください。

遺産分割調停にかかる期間の目安と長引く原因

平均審理期間は約12か月

平均審理期間は、最高裁判所の公表資料によると、令和6年に終わった遺産分割事件で約12.1か月です。同じ資料では、調停期日の平均回数が約4.7回、期日と期日の平均間隔が約2.4か月となっています。夫婦関係の事件の平均が約7か月であることと比べても、遺産分割は長期化する傾向にあります。

ただし平均はあくまで目安にすぎません。争点が少なければ半年以内に終わる事件がある一方で、3年を超えて続く事件も存在します。

長引く5つの原因

長引く原因として、主に以下の5つが挙げられます。

1つめは不動産の評価をめぐる対立です。実家を取得したい長男は評価額を低く、代償金を受け取る側は高く主張するため、固定資産税評価額・路線価・不動産会社の査定額のどれを使うかで平行線をたどります。折り合いがつかなければ裁判所が選んだ不動産鑑定士に鑑定を依頼し、数十万円の費用と数か月の時間がかかります。

2つめは特別受益や寄与分の主張です。「20年前に兄だけが住宅資金を援助してもらった」「自分は10年間母の介護をした」といった主張は、裏づけとなる通帳や介護記録の確認に時間を要します。

3つめは、相続人の人数が多い場合や遠方に住んでいる場合です。代襲相続で甥や姪まで当事者に加わると、日程調整だけで期日の間隔が空きます。

4つめは相手方の欠席です。呼出しに応じない相続人がいると、出頭を促す手続きを重ねる分だけ進行が遅れます。

5つめは感情的な対立です。親の介護を誰が担ったか、生前にどちらが可愛がられていたかといった過去の不満が噴き出すと、金額の話し合いに入れません。

早く終わらせるためのコツ

早く終わらせるためには、初回の期日までに遺産目録と評価資料をそろえておくのが効果的です。不動産であれば固定資産評価証明書に加えて複数の不動産会社の査定書を取っておくと、評価の議論を短縮できます。自分が受け入れられる最低ラインを事前に決めておけば、調停委員から提案が出たときに即答でき、期日を1回分節約できます。

遠方に住んでいる場合は、電話会議やウェブ会議での参加を裁判所に相談してください。裁判所が相当と認めれば、裁判所に出向かずに期日へ参加できます。

なお、2023年4月の民法改正により、相続開始から10年を過ぎると、原則として特別受益や寄与分を主張できなくなりました。経過措置はありますが、調停を先延ばしにするほど主張の選択肢が狭まる点も意識しておく必要があります。

相続税の申告期限(10か月)との関係

相続税の申告期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。調停が長引いても申告期限は延びないため、遺産が未分割のまま、法定相続分で取得したものとして申告と納税を済ませる必要があります。

未分割の申告では、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使えず、一時的に税額が高くなります。申告の際に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しておけば、3年以内に分割が決まった時点で更正の請求をして、特例を適用した税額との差額の還付を受けられる仕組みです。

遺産分割調停の費用:自分で進める場合と弁護士に依頼する場合

費用の全体像

費用の全体像は以下のとおりです。

費目 自分で進める場合 弁護士に依頼する場合
収入印紙 被相続人1人につき1,200円 同左
連絡用の郵便切手 裁判所ごとに異なる 同左
戸籍・証明書の取得費 数千円〜1万円程度 同左(取得の代行も可能)
不動産鑑定費用 鑑定を実施する場合は数十万円 同左
法律相談料 ― 30分5,500円(当事務所)
着手金 ― 請求額の8%・調停は最低22万円(当事務所)
成功報酬 ― 得た利益の10〜16%・最低11万円(当事務所)

弁護士費用の相場と当事務所の料金

弁護士費用は、多くの事務所がかつての日本弁護士連合会の報酬基準をもとに設定しています。当事務所の料金は上の表のとおりで、着手金は請求額の8%(調停の場合は最低22万円)、成功報酬は得た利益の10〜16%(最低11万円)です。事案の内容によって金額が変わるため、正式な費用はご相談の際にお見積りします。

費用対効果の考え方

費用対効果を考える際は、弁護士費用と、弁護士が入ることで増える取得額を比べてください。不動産の評価が1,000万円違えば、2人で分ける場合の取り分は500万円変わります。特別受益の主張が認められるかどうかでも、数百万円単位で結果が動きます。

反対に、預貯金だけを法定相続分どおりに分ける事案では、弁護士費用に見合う差が生まれない場合もあるでしょう。依頼するかどうかは、争点の中身と金額のバランスで判断するのが合理的です。

弁護士費用は相手に請求できない

弁護士費用は、原則として依頼した本人が負担し、相手方に請求できません。調停の申立費用も、各自が負担するのが家事事件の原則です。「相手のせいで調停になったのだから費用を払わせたい」と考える方もいますが、調停の中で費用負担を合意しない限り、請求は認められません。

費用を払えない場合は法テラスを検討する

費用を払えない場合は、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助を検討してください。収入と資産が一定の基準以下であれば、弁護士費用を法テラスが立て替え、月々の分割で返済できます。法テラスの利用に対応しているかは事務所によって異なるため、相談予約の際に確認しておくと安心です。

弁護士なしで遺産分割調停はできる?判断基準

結論:法律上は弁護士なしでも進められる

結論からいうと、遺産分割調停は弁護士なしでも進められます。調停は当事者本人が出席して話し合う手続きで、代理人をつけるかどうかは本人の自由です。実際に、代理人をつけずに本人だけで調停に臨む相続人も一定数います。

自分で進められるケース

自分で進められるのは、以下のような条件がそろっている場合です。

  • 遺産が預貯金や上場株式など、評価で争いにくい財産が中心
  • 相続人が2〜3人程度で、全員の連絡先が判明している
  • 争点が「誰がどの割合で取得するか」だけに絞られている
  • 相手方も弁護士をつけていない

条件がそろっていれば、調停委員が法定相続分を基準に話を整理してくれるため、本人でも十分に対応できます。

弁護士に依頼すべきケース

弁護士に依頼すべきなのは、法的な主張や資料の検討が結果を左右するケースです。具体的には、実家の土地や賃貸アパート、同族会社の株式など、評価が割れる財産がある場合が挙げられます。生前の援助(特別受益)や介護への貢献(寄与分)、親の預金の使い込みを主張したい場合も、証拠の集め方と主張の組み立て方で結論が変わります。

相手方に弁護士がついた場合、法律知識の差がそのまま交渉力の差になるため、同じく弁護士をつけるのが得策です。仕事や遠方の事情で平日の期日に出席しにくい方、相手と向き合うと冷静でいられなくなる方も、弁護士に任せる価値があります。

弁護士が入ると何が変わるか

弁護士が入ると、主張を法的に整理した書面で伝えられるようになります。調停委員は限られた時間で双方の話を聞くため、口頭で感情を交えて訴えるより、根拠資料を添えた主張書面のほうが伝わります。

調停委員から示された調停案が、審判に移行した場合の見通しと比べて妥当かどうかを判断できる点も、弁護士に依頼する利点です。弁護士が代理人として出席すれば、事情に応じて本人の出席回数を減らせる場合があります。

途中からの依頼も可能

途中からの依頼も可能です。第1回期日に本人で出席してみて、相手方の主張が想定より強硬だった段階で依頼する方もいます。ただし、遺産の範囲や評価はいったん合意すると覆すのが難しいため、評価の話し合いに入る前が相談のタイミングとして望ましいです。

弁護士に依頼すべきケースにあてはまる方は、申立て前でも期日の途中でも、お気軽にご相談ください。

遺産分割調停を有利に進める7つのポイント

遺産分割調停を有利に進めるポイントは、以下の7つです。

ポイント1:遺産目録を正確に作る

遺産目録を正確に作ると、遺産の範囲をめぐる無駄な確認作業が減ります。通帳の記帳履歴や自宅に届く郵便物から、ネット銀行や証券口座、生命保険の漏れがないかを洗い出してください。

ポイント2:評価の根拠資料を用意する

評価の根拠資料を用意するのは、主張に説得力をもたせるためです。不動産なら固定資産評価証明書に加え、路線価図や複数の不動産会社の査定書をそろえておくと、評価額の議論で優位に立てます。

ポイント3:主張は口頭ではなく書面で伝える

主張は口頭ではなく書面で伝えるのが基本です。調停委員は双方の話を取り次ぐ立場なので、書面にしておけばニュアンスがずれずに相手方へ届きます。

ポイント4:感情論ではなく法定相続分を基準に考える

感情論ではなく法定相続分を基準に考えると、調停委員の理解を得られます。「親の面倒を見なかった弟に渡したくない」と感じるのは自然ですが、法的な根拠がなければ結論には反映されません。

ポイント5:調停委員を敵にしない

調停委員を敵にしないためには、質問に誠実に答え、相手方への非難を控える姿勢が欠かせません。冷静で筋の通った説明をする当事者の意見ほど、調停委員は相手方への説得材料として使ってくれます。

ポイント6:譲歩ラインと落としどころを事前に決める

譲歩ラインと落としどころは、期日の前に決めておきましょう。「実家を取得できるなら代償金は1,200万円まで払う」「預金だけなら法定相続分の9割で応じる」のように具体的な数字で決めておくと、提案に対して迷わず回答できます。

ポイント7:調停案は即決せず持ち帰って検討する

調停案は即決せず、持ち帰って検討するのが賢明です。成立した調停は後から覆せないため、次回期日までに家族や専門家と内容を確認してください。

【解決事例挿入欄:当事務所で扱った遺産分割調停の解決事例(匿名化)を挿入】

福岡で遺産分割調停を申し立てる方へ

福岡家庭裁判所の本庁は、福岡市中央区六本松4-2-4にあります。地下鉄七隈線の六本松駅から歩いて行ける距離で、調停・審判の申立てや手続きの問い合わせは1階の家事訟廷事務室(092-981-9605)が窓口です。

県内には本庁の他に、小倉・久留米・飯塚・直方・田川・柳川・大牟田・八女・行橋の各支部と甘木出張所があります。どの本庁・支部が管轄するかは、裁判所ウェブサイトの管轄区域表で確認できます。甘木出張所は申立ての受付だけを扱い、受付後の審理は本庁で進められる点に注意してください。

相手方が県外に住んでいる場合は、原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。遠方の裁判所でも、電話会議やウェブ会議での参加が認められれば、毎回出向かずに済みます。当事務所は天神にあり、福岡家庭裁判所本庁への移動もスムーズです。

遺産分割調停に関するよくある質問

Q. 調停に出席しないとどうなりますか?

正当な理由なく欠席を続けると、5万円以下の過料の対象になります。欠席したままでも調停は不成立となって審判に移り、欠席した側の言い分が十分に反映されないまま結論が出る恐れがあります。都合が悪い場合は、事前に裁判所へ連絡して期日の変更を相談してください。

Q. 相手と顔を合わせることはありますか?

待合室も調停委員への聞き取りも別々なので、基本的に顔を合わせずに済みます。成立時に双方が同席して内容を確認する場合がありますが、同席に不安があれば事前に伝えてください。

Q. 調停中に遺産を使い込まれたらどうなりますか?

相続開始後に一部の相続人が預金を無断で引き出した場合、他の相続人全員が同意すれば、引き出された預金も遺産に含めて分割できます。一方、亡くなる前の使い込みは、調停で合意できなければ不当利得返還請求などの訴訟で別に争う必要があります。

Q. 遺言書があっても調停はできますか?

遺言に記載されていない財産がある場合や、相続人全員が遺言と異なる分け方で合意したい場合は、調停での話し合いの対象です。遺言の有効性そのものを争う場合は、地方裁判所での遺言無効確認訴訟が先になります。

Q. 成立した調停を後から覆せますか?

成立した調停は確定した審判と同じ効力をもつため、原則として後から覆せません。重大な勘違いがあった場合など例外的に無効を主張できる余地はあるものの、認められるハードルは高いため、成立前に内容を十分確認してください。

Q. 認知症の相続人がいる場合はどうなりますか?

判断能力が不十分な相続人がいる場合、家庭裁判所で成年後見人を選任し、後見人が本人に代わって調停に参加します。後見人の選任には数か月を要する場合があるため、早めに申し立ててください。親が元気なうちに取れる対策は、以下の記事で解説しています。

Q. 未成年の相続人がいる場合はどうなりますか?

未成年の子と親権者がともに相続人となる場合、利益が相反するため、家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立てます。特別代理人には、利害関係のない親族や弁護士が選ばれます。

Q. 不成立になってから審判が出るまでどのくらいかかりますか?

審判が出るまでの期間は、争点の数や鑑定の有無しだいで一律ではありません。調停で資料と主張が出そろっていれば審判は比較的早く進み、鑑定を実施すれば鑑定書の完成を待つ分だけ期間が延びます。

まとめ:遺産分割調停は準備しだいで結果が変わる

遺産分割調停は、調停委員を介して相続人全員の合意を目指す話し合いの手続きです。平均で約1年かかり、申立ての実費は印紙1,200円と郵便切手、書類の取得費で1〜2万円前後が目安になります。

預貯金中心のシンプルな遺産であれば弁護士なしでも進められますが、不動産の評価や特別受益が争点になる場合は、専門家の関与で結果が変わります。福岡で遺産分割調停を検討している方は、申立て前の段階からお気軽に当事務所へご相談ください。

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この記事を書いた人

山室 拓也のアバター 山室 拓也 弁護士

日々ご相談を頂く中で法律問題ではない相談に直面することもございます。司法書士、社労士、税理士、弁理士といった士業と連携するにとどまらず、探偵業、不動産業、製造業等を営む方とのネットワークを有することで、法律問題に限らず法律以外の解決策を提示させていただくなど、相談者様に寄り添った解決策を導き出します。

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